マンション大規模修繕工事のCM方式とは?費用・メリット・注意点を解説

「マンション大規模修繕工事でCM方式を採用したら、工事費を抑えられるの?」「設計監理方式や責任施工方式とは何が違うの?」と疑問に思っていませんか?
マンションの大規模修繕工事では、数千万円から億単位の費用がかかるケースもあり、管理組合にとって発注方式の選択は重要です。
CM方式(Construction Management方式)は、CMR(コンストラクション・マネージャー)が管理組合側に立ち、工事のコスト・品質・工程・発注などをマネジメントする方法です。
一方で、CM方式には費用や責任分担などの注意点もあります。
この記事では、マンション大規模修繕工事のCM方式について、設計監理方式・責任施工方式との違い、メリット・デメリット、費用面の考え方、向いている管理組合まで分かりやすく解説します。
~ この記事で分かること ~
- CM方式とは?
- 4つの発注方式
- CM方式のメリット
- CM方式の費用・注意点
- 向いている管理組合
■ 目次 ■
マンション大規模修繕工事の発注方式4つを比較

マンションの大規模修繕工事には、いくつかの発注方式があります。
国土交通省の資料では、主な方式として設計・監理方式、責任施工方式、CM方式、ECI方式などが整理されています。
どの方式を選ぶかによって、管理組合の負担や施工会社との関係、工事費の管理方法などが変わります。
①設計監理方式とは?
設計監理方式は、管理組合が設計コンサルタントなどに調査・診断、改修設計、施工会社の選定支援、工事監理などを依頼し、施工会社とは別に工事請負契約を結ぶ方式です。
設計と施工を分離することで、施工会社とは別の専門家が工事内容をチェックできます。
そのため、施工会社だけに任せるのではなく、第三者による工事監理を重視したい管理組合に適しています。
ただし、設計コンサルタントへの費用が必要になるほか、コンサルタントの選定を慎重に行う必要があります。
②責任施工方式とは?
責任施工方式は、建築士を有する施工会社などに、調査診断から改修設計、工事の実施までを一括して依頼する方式です。
管理組合が個別に設計者と施工会社を調整する必要がないため、比較的スムーズに工事を進めやすいことがメリットです。
一方、設計と施工が同じ会社になるため、工事内容と費用の関係が分かりにくくなる可能性があります。
国土交通省も、マンションの規模が小さい場合などには責任施工方式が有用な場合があるとしています。
③CM方式とは?
CM方式の「CM」はConstruction Management(コンストラクション・マネジメント)の略です。
CM方式では、CMR(コンストラクション・マネージャー)が発注者である管理組合側に立ち、設計・発注・施工の各段階で、工程・品質・コストなどのマネジメントを行います。
一般的なイメージは次のとおりです。
- 管理組合がCMRと契約する
- CMRが設計や発注方法を検討する
- 施工会社の選定を支援する
- 工事中の工程・品質・コストを管理する
- 管理組合が主体となって施工会社と契約する
一括発注とは異なり、発注者側に専門的なマネジメント機能を持たせることがCM方式の大きな特徴です。
④ECI方式とは?
ECI方式は、設計段階から施工者を関与させる発注方式です。
施工会社の技術やノウハウを設計段階から活用できることが特徴で、施工上の難しい課題がある工事などで活用される場合があります。
ただし、一般的なマンション大規模修繕工事では、設計監理方式や責任施工方式と比較して、採用例は多くありません。
マンション大規模修繕工事はどの方式が良い?
「どの方式が一番優れている」という単純な答えはありません。
マンションの規模、修繕積立金、管理組合の知識や人員、工事の複雑さなどによって、適した方式が変わります。
| 方式 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 設計監理方式 | 設計と施工を分離 | 第三者のチェックを重視 |
| 責任施工方式 | 設計・施工を一括依頼 | 比較的シンプルな工事 |
| CM方式 | 発注者側のマネジメントを強化 | コスト・品質・発注を細かく管理したい |
| ECI方式 | 施工者を早期に関与させる | 施工上の専門知識を早期に活用したい |
国土交通省の実態調査では、回答全体の80.1%が設計監理方式、12.6%が責任施工方式、CM方式は1.3%でした。
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、回答全体の80.1%が設計監理方式、12.6%が責任施工方式、1.3%がCM方式でした。なお、この調査は200社から818件の工事事例を収集したものです。
つまり、CM方式は存在するものの、設計・監理方式や責任施工方式と比較すると、採用例はまだ多くありません。
大切なのは「人気のある方式」を選ぶことではなく、マンションの規模や管理組合の体制、工事の内容に合った発注方式を選択することです。
CM方式を採用するメリット・デメリット
CM方式には、管理組合が大規模修繕工事を主体的に管理しやすくなるメリットがあります。
一方で、CM方式なら必ず工事費が安くなるわけではなく、注意すべき点もあります。
CM方式のメリット
コストを管理しやすい
CMRが工事費や発注方法について検討し、コスト縮減の提案を行うことがあります。
国土交通省のCM方式活用ガイドラインでも、設計図書の見直しやコスト縮減提案、発注区分の検討などがCMRの業務として示されています。
そのため、施工会社から提示された工事費をそのまま受け入れるのではなく、発注者側からコストを検討しやすくなります。
発注方法を柔軟に検討できる
工事を一括発注するだけでなく、工種ごとの分離発注など、マンションの状況に応じた発注方法を検討できます。
管理組合側に専門家が付く
建築や工事に詳しくない理事会・修繕委員会だけで、工事費や施工内容を判断する必要がなくなります。
CMRから専門的な助言を受けながら、管理組合が発注者として判断できます。
工程や品質を管理しやすい
CMRは施工者間の調整や工程管理、施工図のチェックなどを行うことができます。
複数の施工会社が関係する場合にも、全体を調整する役割が期待できます。
工事内容の透明性を高めやすい
「なぜ、この工事が必要なのか」「なぜ、この施工会社なのか」といった判断の根拠を整理しやすくなります。
管理組合内で工事内容を説明するときにも、判断材料を共有しやすくなります。
CM方式のデメリット
CM方式にはメリットだけでなく、次のような注意点があります。
- CMRへの報酬が必要になる
- 管理組合側の判断事項が増える
- CMRの能力や経験によって結果が左右される
- 工事全体の責任分担を明確にする必要がある
- CM方式だから必ず工事費が安くなるわけではない
特に注意したいのが、「CM方式=大規模修繕工事の費用が安くなる」という考え方です。
CM方式の目的は単純な値下げではありません。
コストだけではなく、品質や工程、発注方法などを含めて工事全体をマネジメントすることが重要です。
マンション大規模修繕工事のCM方式の費用は?
CM方式を採用すると、CMRへの報酬などの費用が発生します。
そのため、施工会社に支払う工事費だけでなく、CMRへの報酬などを含めた総費用で比較することが大切です。
例えば、CM方式によって施工費を抑えられたとしても、CMRへの報酬を加えた結果、総額では大きな差が出ない可能性もあります。
反対に、発注方法や工事内容の見直しによって、CM費用を上回るコスト縮減につながる可能性もあります。
したがって、CM方式を検討するときは、
- CMRへの報酬はいくらか
- CMRの業務範囲はどこまでか
- 施工会社への工事費はいくらか
- 追加工事が発生した場合の対応はどうするか
- 最終的な総額はいくらになるか
を確認しましょう。
国土交通省はCM方式を推薦している?
ここは誤解しやすいポイントです。
国土交通省が「マンション大規模修繕工事ではCM方式を採用すべき」と一律に推薦しているわけではありません。
国土交通省の資料では、設計・監理方式、責任施工方式、CM方式など、それぞれの特徴やメリット、リスクが整理されています。
特に設計・監理方式については、設計と施工を分離し、設計コンサルタントが設計・監理を行うことで、工事の適正化が期待される一方、設計コンサルタントの適正な選定が重要とされています。
そのため、「国土交通省が推薦している方式だから選ぶ」という考え方ではなく、自分たちのマンションに適した方式を比較検討することが重要です。
マンション大規模修繕工事でCM方式が向いている管理組合は?
CM方式は、すべてのマンションに適しているわけではありません。
特に次のような管理組合では、CM方式を検討する価値があります。
- 大規模マンションで工事費が高額になる
- 工事内容や費用を細かく管理したい
- 理事会・修繕委員会に専門知識がある
- 管理会社や施工会社に丸投げしたくない
- 発注方法を比較検討したい
- コスト・品質・工程を重視したい
一方、CM方式では管理組合側にも一定の判断や責任が求められます。
国土交通省も、CM方式では一括発注方式と異なり、工事全体の完成に関するリスクなどが発注者側に生じる場合があることを示しています。
そのため、「専門家に全部任せたい」という管理組合よりも、専門家の力を借りながら、自分たちでも大規模修繕工事を管理したい管理組合に向いている方式といえるでしょう。
CM方式を採用するときの注意点
CM方式を採用するときは、CMRを選ぶことが非常に重要です。
CMRによって、経験や得意分野、業務範囲、報酬体系などが異なるためです。
管理組合では、次の点を確認しましょう。
- マンション大規模修繕工事の実績があるか
- CM業務の範囲が明確になっているか
- 報酬の算定方法が明確か
- 施工会社との利害関係がないか
- 工事費や追加工事のチェック方法が明確か
- 管理組合への説明や報告体制が整っているか
CM方式は「CMRに任せればすべて解決する」という仕組みではありません。
管理組合がCMRと役割分担を明確にし、重要な事項については理事会や総会で適切に判断することが大切です。
まとめ
マンション大規模修繕工事のCM方式は、CMR(コンストラクション・マネージャー)が発注者である管理組合側に立ち、コスト・品質・工程・発注などをマネジメントする方式です。
設計監理方式や責任施工方式と比べて、管理組合が工事を主体的に管理しやすいことがメリットです。
一方で、CMRへの報酬が必要になり、管理組合側にも一定の判断や責任が求められます。
また、CM方式だから必ず大規模修繕工事の費用が安くなるわけではありません。
大規模修繕工事では、単純に「一番安い方式」を選ぶのではなく、マンションの規模、工事内容、修繕積立金、管理組合の体制などを踏まえて、自分たちのマンションに合った発注方式を選ぶことが重要です。
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