修繕委員会

修繕委員会になりすまし業者?令和7年改正で本人確認が必要になった理由

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「うちの修繕委員会に限って、そんなことは起きない――。」

もし、そう思っているなら注意が必要かもしれません。

令和7年改正のマンション標準管理規約では、修繕委員会などの「専門委員会」に、“なりすまし”による部外者侵入リスクが新たに明記されました。

背景には、大規模修繕を巡り、外部業者関係者が住民を装って委員会へ入り込んだとされる衝撃的な事件があります。

修繕委員会は、工事内容や業者選定を左右する重要な組織です。

もし、その議論が第三者によって誘導されていたとしたら――管理組合は大きな損害を受ける可能性があります。

なぜ国は今回、「本人確認」の重要性まで踏み込んだのでしょうか。改正の背景と、これから管理組合が取るべき対策を分かりやすく解説します。

~ この記事で分かること ~

  • 修繕委員会のなりすましリスク
  • 第55条コメント③の改正内容
  • 本人確認が必要な理由
  • 管理組合が行うべき対策
  • 外部専門家を選ぶ際の注意点

なぜ第55条コメント③が新設されたのか?

「マンション住民のなりすまし対策とは?本人確認だけでは防げない理由を解説」でも綴りましたが、今回の第55条コメント追加は、単なる注意書きではありません。

【コメント】第55条関係
③ 専門委員会を設置することが想定される具体的な事例としては、大規模修繕工事の実施に当たって、計画の立案や業者の選定等を実施するための修繕委員会を設置する場合が考えられるが、この場合、工事請負契約等の多額の発注・契約に関する管理組合としての意思決定に直接的に関与することが想定される。そのため、部外者が修繕委員等の専門委員になりすまし、専門委員会における検討プロセス等を妨害した場合、管理組合が多額の損害を被るおそれがあることから、そうした事態を防止するためには、専門委員候補者の本人確認を適切に実施することが有効と考えられる。本人確認の方法等は、コメント第35 条関係⑩を参照のこと。

第55条コメント新設の背景には、全国で問題視されている“大規模修繕を巡る不透明な関与”があります。

近年、大規模修繕工事では、設計会社、施工会社、コンサルタントなど多くの関係者が関与します。

その中で、一部では業者側の人物が住民を装って委員会へ入り込み、工事内容や業者選定に影響を与えた疑いが報道されました。

専門委員会は理事会よりも少人数で、議論が非公開になる場合もあります。そのため、外部者が入り込むと、気づかれにくいという特徴があります。

国土交通省は、こうした実態を踏まえ、「専門委員会でも本人確認が重要である」と明確に示したと考えられます。

実際に、多くのマンションでは、大規模修繕工事に向けて「修繕委員会」という専門委員会が組織されています。

筆者が関わったマンションでも、大規模修繕工事前に修繕委員会が設置され、工事内容や業者選定について話し合いが行われました。

当時は、まだ今回の標準管理規約改正前だったため、本人確認や居住者確認までは行っていませんでした。

今回の改正を踏まえると、今後は専門委員会の設置時にも、本人確認や居住者確認を適切に行う必要性が高まっていくと感じます。

専門委員会は“補助機関”でも影響力は大きい

規約上、専門委員会は理事会の諮問機関や補助組織として位置づけられています。

しかし実務では、修繕委員会が集めた情報や比較資料が、そのまま理事会や総会の判断材料になるケースも少なくありません。

例えば、

  • 修繕工事の仕様検討
  • 見積比較
  • コンサルタント選定
  • 施工会社ヒアリング
  • プレゼン評価

などを専門委員会が先行して行うことがあります。

つまり、専門委員会は“正式決定機関ではない”としても、実際には管理組合の意思決定へ強い影響を持つ存在なのです。だからこそ、委員会の信頼性が重要になります。

なりすましが起きると何が危険なのか

もし、部外者が委員として入り込んだ場合、問題は単なるルール違反では終わりません。

特定業者に有利な情報誘導や、他社の排除、不必要な高額工事への誘導など、管理組合の判断そのものが歪められる危険があります。

さらに怖いのは、「住民だと思っていた」という安心感です。

マンションでは顔見知りが多く、「紹介されたから大丈夫」「理事長が知っている人だから安心」という曖昧な確認で済ませてしまうことがあります。

しかし、大規模修繕は数千万円から数億円規模になることもあります。

管理組合にとって極めて重要な場面だからこそ、
“性善説だけでは守れない”
という考え方が必要になっています。

管理組合が配慮すべき本人確認とは

標準管理規約のコメントでは、「本人確認の方法等は、第35条関係⑩を参照」とされています。

つまり、専門委員についても、

  • 区分所有者本人か
  • 正当な代理人か
  • 居住者か
  • 利害関係を隠していないか

などを適切に確認する必要があるということです。

具体的には、

  • 委員就任時の申込書提出
  • 区分所有者名簿との照合
  • 身分確認書類の確認
  • 理事会承認手続き
  • 利害関係申告書の提出

などが考えられます。

特に、外部専門家を委員に加える場合は、「どの立場で参加するのか」を明確にしておくことが重要です。

管理組合で実施しやすい本人確認の方法としては、次のようなものが考えられます。

区分所有者名簿との照合(最も基本)

修繕委員へ応募した人の氏名・部屋番号を、管理組合が保有する区分所有者名簿と照合します。

  • 氏名
  • 部屋番号
  • 所有者かどうか

を確認します。

メリットは、最も簡単で、個人情報の取得が少ないことです。

居住者名簿との照合

修繕委員になる資格を居住者まで認めている場合は、居住者名簿でも確認します。

例えば、

  • 同居家族
  • 配偶者
  • 届出済みの入居者

などです。

委員就任申込書の提出

修繕委員へ就任する際に申込書を提出してもらいます。

  • 氏名
  • 住所
  • 部屋番号
  • 所有者・家族・賃借人の区分
  • 連絡先

後日の確認資料としても役立ちます。

身分証明書の提示

初回のみ、

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート

などの写真付き身分証を提示してもらいます。コピーを保管するかどうかは、管理組合の個人情報保護方針に従って慎重に判断する必要があります。

管理会社による確認

管理会社が、

  • 居住状況
  • 名簿

を確認し、「本人であることを確認済み」と理事会へ報告する方法もあります。

個人情報を必要以上に扱わずに済むメリットがあります。

理事会で正式承認する

本人確認だけでなく、

  • 委員候補者
  • 委員の資格

を理事会で承認する手続きを設けます。

議事録にも残るため透明性が高まります。

利害関係の申告書を提出してもらう

本人確認とあわせて、

例えば、

  • 工事会社との関係
  • 設計事務所との関係
  • コンサル会社との関係
  • 親族が関係会社に勤務していないか

などを自己申告してもらう方法です。

利益相反の防止にもつながります。

実務上おすすめの運用

多くのマンションでは、次のような組み合わせで十分実効性があるでしょう。

  • 修繕委員就任申込書を提出する
  • 区分所有者名簿・居住者名簿と照合する
  • 理事会で委員を正式承認する
  • 利害関係の有無を自己申告してもらう

写真付き身分証の提示は、特に初めて委員になる方や本人確認が難しいケースでは有効ですが、個人情報保護への配慮も必要です。そのため、すべてのマンションで一律に求めるのではなく、管理規約や細則、運用方針に応じて実施するのが望ましいでしょう。

なお、令和7年改正標準管理規約のコメント第55条関係③では、本人確認の方法として、「特定の方法を義務付ける」のではなく、管理組合が適切な方法を選択することを前提としています。

「信頼しているから確認しない」が一番危険

マンション管理では、人間関係を重視するあまり、「確認すると失礼ではないか」と感じる場面があります。

しかし今回の改正は、
“確認すること自体が管理組合を守る行為”
であると示しています。

本人確認は、不信感を持つためではありません。

管理組合全体の財産を守るための基本的なリスク管理です。特に大規模修繕は、一度契約すると簡単にはやり直せません。

だからこそ、
「誰が委員なのか」
「どの立場で関与しているのか」
「利益相反はないのか」
を透明化することが、これからのマンション管理では重要になります。

修繕委員会に外部専門家を入れる場合の注意点

大規模修繕では、建築士やマンション管理士などの外部専門家を修繕委員会へ加えるケースがあります。

専門知識を活用できるメリットがある一方で、「どの立場で関与しているのか」を明確にしておくことが重要です。

特定業者との関係性や利害関係が不透明なまま参加すると、管理組合の意思決定が偏る危険もあります。委員就任時には、役割や関係性を事前に確認し、理事会で正式に承認することが望まれます。

相談窓口はコチラ(大規模修繕情報交換ネットワーク)

「隣で議論しているあの人は、本当に住民なのだろうか」被害が起きる前の予防と早期発見するためにも、ご相談・情報提供をお願いいたします。

修繕ネットワークは、マンションの大規模修繕工事に関する情報を幅広く提供している専門サイトです。修繕工事の基礎知識や進め方、長期修繕計画、工事会社選びのポイントなど、管理組合の理事や修繕委員に役立つ情報が充実しています。

これから大規模修繕を検討する管理組合や、工事について理解を深めたい区分所有者にとって参考になるサイトです。

■大規模修繕情報交換ネットワーク

まとめ

令和7年改正標準管理規約の第55条関係コメント③では、専門委員会における“なりすましリスク”への警戒が新たに示されました。

これは単なる事務的改正ではなく、大規模修繕を巡るトラブルや外部介入リスクを踏まえた実務的な改正と言えます。

これからの管理組合には、

  • 専門委員会の役割を明確にする
  • 委員選任手続きを透明化する
  • 本人確認を適切に行う
  • 利害関係を把握する

といった視点が求められます。

「専門委員会だから任せれば安心」ではなく、

“誰が、どの立場で、何に関与しているのか”

を管理組合全体で把握する時代に入ったのかもしれません。

※アフィリエイト広告を利用しています。
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この記事を書いた人

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独身でマンションを購入し、売却を経験した管理人です。失敗や後悔をすることがないように経験から得られた知識を発信することでマンション購入のお役立ちとなるように願っています。「マンションは管理を買え!」と言われるように、購入して後悔のないように願うばかりです。理事長や副理事長・大規模修繕委員の経験もあり、管理委託費の削減も行いました。

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独身でマンションを購入し、売却を経験した管理人です。失敗や後悔をすることがないように経験から得られた知識を発信することでマンション購入のお役立ちとなるように願っています。「マンションは管理を買え!」と言われるように、購入して後悔のないように願うばかりです。理事長や副理事長・大規模修繕委員の経験もあり、管理委託費の削減も行いました。


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