修繕委員会

大規模修繕工事住民説明会の資料における根本的な欠陥とは?

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マンション住民に対する「大規模修繕工事住民説明会」を実施することになりました。

あらかじめ修繕委員会の場で、臨時総会で大規模修繕工事を可決したら、「大規模修繕工事住民説明会」を実施することが決められていました。

そのため、説明会資料を作成して配布することになっていました。受注業者が作成した説明会資料(案)を修繕委員会のメンバーで確認を行い、意見が求められました。

大規模修繕工事説明会資料(案)には、根本的な欠陥があったのです。これは、資料を作成した受注業者では分からない視点だったのかもしれません。

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大規模修繕工事住民説明会(案)資料配布

修繕委員会のメンバーには、「大規模修繕工事住民説明会(案)」の資料が配布されました。

「大規模修繕工事住民説明会(案)」の案内とは、工事の概要やスケジュール案をまとめた資料です。

目を通して意見があれば寄せてほしい旨が記されていました。管理組合や施工会社が、住民の声を事前に吸い上げようとしてくれているその姿勢に、まずは好感を抱きました。

「何が書かれているのだろうか?」と期待と少しの緊張感を持ちながら、そのページをめくり始めました。

配布された資料は、専門的ながらも図やイラストを多用し、住民に分かりやすく伝えようという工夫が随所に見られました。

工事の目的、範囲、使用される材料の仕様、そして全体の工程表。その中でも、住民の関心が最も高いであろう項目の一つが、棟ごとや工区ごとに分けられた詳細なスケジュールです。

いつから足場が組まれ、いつ頃に窓の外がシートで覆われるのか。そして、最も気になるバルコニーが使えなくなる期間は具体的にいつからいつまでなのか。

生活設計に直結するこれらの情報は、何よりも先に確認したい内容でした。

事前確認で直面した「根本的な疑問」

「大規模修繕工事住民説明会(案)」資料に目を通していくと、「A棟」「B棟」「C棟」といった形で、棟別に細かなスケジュールが組まれていました。

「A棟:〇月〇日~〇月〇日 外壁打診調査」「B棟:〇月〇日~〇月〇日 シーリング撤去・打替工事」といった具合です。

棟別に大規模修繕工事を進める予定であることが分かりました。A棟で利用した足場をB棟で利用することで、工期の短縮や工事費用の削減を行おうという工夫なのかな?と思いました。

非常に詳細で、一見すると分かりやすいように思えました。しかし、私はここで根本的な問題に突き当たります。

「さて、自分の住む508号室(仮)は、一体どの棟に属するのだろうか?」

マンションの案内図や登記情報を見ても、私たちのマンションは日常的に「A棟」や「B棟」といった呼称を使っていませんでした。

A棟とB棟の渡り廊下には、エキスパンションジョイントで結ばれているため、同じ一つの建物であると認識されています。

「エキスパンションジョイント(Expansion Joint)」とは、建物・橋梁・配管・道路などの構造物に生じる温度変化や振動、地震、収縮・膨張などの動きを吸収・緩和するための継ぎ目(伸縮継手)のことです。(ChatGPTより)

部屋番号も連続していることも一つの建物という意識なのかもしれません。

「大規模修繕工事住民説明会(案)」資料の隅々まで目を通しましたが、その定義や、どの住戸がどの棟に属するのかを示す記述はどこにも見当たりませんでした。

これでは、どれだけ詳細なスケジュールが示されていても、全く意味をなしません。

自分の部屋の工事がいつ始まるのか、いつ終わるのかを把握することができず、まるで自分に関係のない、どこか遠い場所の工事計画を見ているような感覚に陥りました。

これは私だけの問題なのだろうか。いや、おそらく多くの住民が同じ疑問を抱くはずだ。

このままでは、住民説明会で質問が紛糾するかもしれないし、何よりも住民が工事のスケジュールを「自分事」として捉えられないのではないか、という強い懸念が生まれました。

資料反映への意見提出

疑問に気づいたため、「大規模修繕工事住民説明会」資料に反映してもらうように伝えました。
受注業者では分からない視点だったのかもしれないと思いました。

普段の生活において、「A棟」「B棟」「C棟」が使われていれば、認識したであろうと思います。

しかし、理事会議事録や総会議事録にも「A棟」「B棟」「C棟」が使われず、住戸番号で表しています

駐車場の契約やゲストルームを予約する際も、住戸番号を用いていますので、棟名を使っていませんでした。

多分、マンション住民の方も意識していないので、このまま住民に配布されると、問い合わせが殺到するのではないかと思いました。
正式な棟名は、マンションの売買契約書には示されています。しかし、マンションの売買契約書を探してまで確認することはないのではないかと思いました。

大規模修繕工事住民説明会の資料配布

住民説明会の数日前に、正式な説明会資料として、冊子が各戸に配布されました。

私は、自分の意見がどうなったかを確認するため、少しドキドキしながらその封を開けました。

「大規模修繕工事住民説明会」資料とは別に、「【住戸番号と棟区分について】」という資料が同封されていました。

まさに私が要望した通りの、全住戸番号と、それが属する「A棟」「B棟」「C棟」の区分が一目で分かる一覧表が、明確に記載されていたのです。

具体的には、『〇〇〇号室~〇〇〇号室:A棟』『〇〇〇号室~〇〇〇号室:B棟』といった形で、住戸番号と棟の対応関係を明記した資料です。

その表を見た瞬間、安堵と共に、じわりと温かいものが胸に込み上げてくるのを感じました。

それが必要な情報であるということが認められ、きちんと形となって反映されました。その事実が、何よりも嬉しかったのです。

一覧表のおかげで、我が家が「B棟」に属することが分かり、詳細スケジュールと照らし合わせることで、いつ頃に窓の外に作業員の方が来られるのか、そしていつから洗濯物を外に干せなくなるのか、といった具体的な見通しを立てることができました。

漠然としていた不安は、具体的な「予定」へと変わり、心の準備を整えることができたのです。

おわりに:業者任せではダメ

今回の出来事は、マンションという共同生活体における、双方向のコミュニケーションの重要性を改めて私に教えてくれました。

管理組合や専門家が作成する資料であっても、実際にそこで生活する住民の視点だからこそ気づく、抜け漏れや分かりにくさが存在します。

そして、住民側も、ただ受け取るだけでなく、気づいたことを「建設的な提案」として発信していく勇気を持つことが、結果として全体の利益につながっていくのです。

私の小さな意見が反映された資料は、きっと他の多くの住民にとっても、工事への理解を深め、協力体制を築く上で大いに役立ったことでしょう。

これから始まる長期間の工事は、決して楽なことばかりではないはずです。しかし、住民一人ひとりが「当事者」であるという意識を持ち、管理組合や施工会社と良好なコミュニケーションを取りながら協力していくことで、きっと乗り越えられると信じています。

あの一枚の対応表は、私にとって、大規模修繕工事の成功に向けた、そしてこのマンションでのより良い共同生活を築いていくための、確かな第一歩となりました。

※アフィリエイト広告を利用しています。
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独身でマンションを購入し、売却を経験した管理人です。失敗や後悔をすることがないように経験から得られた知識を発信することでマンション購入のお役立ちとなるように願っています。「マンションは管理を買え!」と言われるように、購入して後悔のないように願うばかりです。理事長や副理事長の経験もあり、管理委託費の削減も行いました。

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