避難ハッチは何階から必要なの?知らなかった11階以上には設置義務がない!

マンションのベランダに設置してある避難ハッチ。火災等が発生した場合の避難経路として必要な重要な設備です。
ふと「避難ハッチは何階から必要なの?」と疑問に思って調べていたら、知らなかった事実が分かりました。なんと11階以上には設置義務がないことです。
今まで、幸いにして避難ハッチを利用したことはありませんが、「いざっ」というときに使えるように、日頃の管理と定期的な点検は必要不可欠です。
- 避難ハッチは何階から必要なの?
■ 目次 ■
何階から必要?建築基準法が定める「2方向避難」の原則
避難ハッチの設置は、建築基準法施行令第121条の「2以上の直通階段を設けなければならない」という規定に深く関わっています。
この基準を満たすため、物理的に階段を2つ設ける代わりに、「避難上有効なバルコニー」と避難ハッチを設置することで、法的な要件をクリアしているケースが一般的です。
つまり、避難ハッチは単なるオプションではなく、2方向目の避難経路を確保するために法規上、必要不可欠な設備として設置されているのです。
1階と11階以上に設置義務がない理由
避難ハッチの設置基準には、興味深い例外があります。
まず、避難階である1階は直接地上に避難できるため、設置が不要なのは直感的に理解できます。
しかし、実は11階以上の高層階にも設置義務がありません。
これは、11階以上の建物には、より厳しい耐火性能や避難設備の基準が適用されるためです。
例えば、煙の侵入を防ぐ「特別避難階段」の設置が義務付けられるなど、階段自体が非常に安全な避難経路として設計されています。
そのため、別途バルコニーに避難ハッチを設ける必要がないと判断されるのです。
日常の「邪魔」が命取り?バルコニーでの課題
幸いにも避難ハッチを実際に使った経験がない人がほとんどですが、それゆえに日常ではその重要性が見過ごされがちです。
限られたバルコニーのスペースにおいて、避難ハッチは時に邪魔な存在と感じられることがあります。
その結果、ハッチの上や周囲にエアコンの室外機や物置、植木鉢などを置いてしまうケースが後を絶ちません。
これらの障害物は、非常時にハッチの開閉やはしごの展開を妨げ、命に関わる事態を引き起こしかねません。
消防法違反にもなるため、ハッチ周辺は常に整理しておく必要があります。
高層階からの恐怖:はしごの「長さ」という現実
仮に避難ハッチを使う状況になったとして、高層階からの避難には大きな恐怖が伴います。例えば10階から避難する場合、はしごの長さは約30メートルにも達します。
火災の煙や強風に煽られながら、長く揺れるはしごを垂直に降りていくことは、想像を絶する恐怖でしょう。
実際に蓋を開けて真下を覗き込むだけでも、その高さに足がすくむ人は少なくありません。
この心理的なハードルも、避難ハッチが抱える現実的な課題の一つです。
安全と避難のジレンマ:「チャイルドロック」は必要か?
小さなお子様がいるご家庭では、バルコニーでの転落事故を防ぐため、避難ハッチにチャイルドロックのような安全機能があれば、と考えるかもしれません。
子供が誤って蓋を開けてしまうリスクは確かに存在します。
しかし、避難器具は「緊急時に誰でも迅速かつ簡単に操作できること」が絶対条件です。
安全性を高めるための複雑なロック機構が、いざという時に避難の妨げとなっては本末転倒です。
この安全と迅速性のジレンマは、避難ハッチという設備の設計における難しい側面を示しています。
いざという時のために:日頃の管理と定期点検の重要性
普段は意識することの少ない避難ハッチですが、それは私たちの命を守るための最後の砦となり得る重要な設備です。
自宅のどこに設置されているのか、蓋はスムーズに開くか、そして正しい使い方を改めて確認しておくことが大切です。
また、消防設備点検の項目にはベランダの避難ハッチも含まれます。
点検のためには、作業員が室内に入りバルコニーで動作確認を行うため、在宅の必要がありますが、避難ハッチのあるお部屋の方は、点検に必ずご協力ください。
「いざっ」というときに使えないということにならないためにも、日頃の管理と定期的な点検へのご協力をお願いします。
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