大規模修繕工事の進め方で違和感!知らない追加工事が!

マンションの資産価値を守り、住みよい環境を維持するために欠かせない「大規模修繕工事」。
修繕委員会でも、数年前から準備を重ね、ようやく着工に漕ぎ着けました。現在、工事は全体の約半分を終え、足場に囲まれた日常にも住民の皆さんが慣れてきた頃です。
進捗報告では「計画通り順調」との言葉があり、委員の一人として胸をなでおろしていたのですが……先日、その平穏を揺るがす「違和感」のある出来事が起こりました。
- 大規模修繕工事の進め方で違和感!知らない追加工事が
■ 目次 ■
追加工事の報告が

その日の修繕委員会は、いつものように施工会社からの進捗報告から始まりました。
「外壁のタイル補修が完了し、現在は塗装工程に入っています。」といった順調な報告に、委員一同が頷いていた時のことです。
管理会社および施工側から、一枚の資料が提出されました。
「実は、掲示板の増設工事について、理事会で承認されましたので、大規模修繕の追加工事として発注をお願いします。」
この言葉に、会議室の空気は一瞬で凍りつきました。修繕委員会のメンバー同士、顔を見合わせます。
「えー、聞いていない工事だぞ……」
「掲示板? そんな話、今まで修繕委員会で一度も出ていないよね?」
「というか、過去にも掲示板を増設したよね。」
「理事会が先に承認して、修繕委員会に後から『発注しろ』というのは順序が逆ではないのか?」
続々と疑問の声が上がりました。大規模修繕工事における修繕委員会の役割は、専門的な知見から工事内容を精査し、理事会に答申することです。
しかし今回は、そのプロセスが完全に飛び越えられ、事後承諾のような形で「追加工事」が放り込まれたのです。
内容を確認すると、エントランスの共有スペースに掲示板を新たに設置するというものでした。
「すでに、掲示板が設置されているのになぜ?」と思い、増設理由を尋ねました。
すると、「最近、自治会や管理組合からの掲示物が非常に増えており、既存の掲示板ではスペースが足りず、貼り切れない状態が続いている。重要な告知が重なると、古い掲示物の上に新しいものを重ねて貼らざるを得ず、住民への周知が疎かになっているから。」とのことでした。
掲示版の写真を撮影して持っていたので、見ましたが、「古い掲示物の整理を行えば、スペース的に十分なのでは?」と思いました。
これでは、いくら掲示スペースを物理的に増やしても、キリがありません。結論として、修繕委員会として、今回の掲示板増設は「却下」と判断しました。
その理由は明確です。「大規模修繕で実施すべき緊急性・必要性がないこと」、そして「既存設備で代替可能であること」です。
大規模修繕の予算枠、あるいは予備費を使って、今のうちにやってしまおうという提案です。
大規模修繕工事本体と比較すると、掲示版の増設工事は、僅かな金額の見積もりでした。
工事着工前に、一応の「確認」という形で話が回ってきたことだけは不幸中の幸いでしたが、委員会内には強い不信感が漂いました。
なぜ、行った追加工事
なぜ、このような「越権」とも取れるプロセスで追加工事が決定されそうになったのでしょうか。背景を探ると、いくつかの要因が見えてきました。
一つは、理事会側の「効率性への過信」です。現在、マンション内には大規模修繕のために足場が組まれ、施工業者が常駐しています。
理事会としては、「職人が現場にいる今なら、別途発注するよりも安く、手離れ良く掲示板を設置できるのではないか」という善意の(しかし独断的な)判断があったようです。
もう一つは、コミュニケーションの不備です。大規模修繕工事という大きなプロジェクトが進む中で、理事会と修繕委員会の役割分担が次第に曖昧になっていた可能性があります。
理事会は「最終意思決定機関」としての権限を、プロセスを無視して行使してしまった。一方で修繕委員会は、技術的な進捗管理に集中するあまり、管理組合全体の細かな要望を吸い上げるパイプが目詰まりしていたのかもしれません。
また、一部の住民から「情報周知が足りない」という要望が理事会に直接寄せられており、それに応えたいという理事会の焦りもあったと推測されます。
しかし、その解決策として「安易な掲示板の増設」が、果たして大規模修繕のスキームで行うべきことだったのか、冷静な判断が欠けていたと言わざるを得ません。
何が問題点だったのか
今回の件には、マンション管理の根幹に関わる三つの大きな問題が潜んでいます。
意思決定プロセスの形骸化
第一に、「意思決定プロセスの形骸化」です。
修繕委員会は、数千万円から数億円という多額の修繕積立金を使うにあたり、その内容が妥当かどうかをチェックする「フィルター」の役割を果たします。
今回のように理事会が先行して承認し、委員会に執行だけを求める形が常態化すれば、チェック機能は失われ、将来的に不透明な支出や、不要な工事の温床になりかねません。
工事の定義と優先順位の混同
第二に、「工事の定義と優先順位の混同」です。
大規模修繕工事の本質は、建物の寿命を延ばし、安全性を確保するための「維持・再生」にあります。
一方、掲示板の増設は、生活の利便性を高めるための「改良」や「日常保守」の範疇です。
これを大規模修繕の予算に紛れ込ませることは、本来の修繕計画を歪める行為です。「ついでにこれも」という安易な追加は、当初の資金計画を狂わせるリスクを孕んでいます。
必要性の欠如
第三に、「必要性の欠如」です。
修繕委員会で改めて議論した際、「そもそも本当に掲示板は足りないのか?」という原点に立ち返りました。
現状、主要な動線であるエントランスには十分なサイズの掲示板があり、最近ではデジタルサイネージやスマホアプリでの情報共有も始まっています。
物理的な掲示板を増やすことは、掲示物の管理コスト(貼り替えの手間や美観の維持)を増やすことにも繋がります。
「既存の掲示板で十分に事足りる」というのが、現場を知る委員たちの共通認識でした。
今後、どうすれば良いのか
今回の騒動を単なる「理事会の暴走」で終わらせてはいけません。これを教訓に、マンション管理の体制をより健全なものへアップデートする必要があります。
まず取り組むべきは、「役割とルールの再確認」です。理事会と修繕委員会の間で、改めて職務権限を明確にする必要があります。
「追加工事が発生する場合は、まず修繕委員会で技術的・コスト的妥当性を検討し、その結果を受けて理事会が最終判断する」というフローを徹底すること。これを文書化し、双方が合意することが再発防止の第一歩です。
次に、「透明性の確保」です。今回の違和感は、一部の人間だけで物事が決まりかけたことから生じました。
修繕委員会の議事録をより詳細に、かつ迅速に住民に公開し、「なぜこの工事はやり、あの工事はやらないのか」というロジックを可視化する必要があります。
今回、掲示板増設を却下した理由も、正々堂々と住民に説明すべきです。それによって、「積立金が正しく守られている」という安心感を醸成できます。
また、「長期的な視点での項目整理」も重要です。大規模修繕の期間中は、つい「あれもこれも」と欲が出てしまうものです。
しかし、工事の目的はあくまで「建物の若返り」です。掲示板の増設や共用部の装飾といった「改良」については、大規模修繕とは切り離し、別途「生活環境改善アンケート」などを通じて、全住民のニーズを確認した上で、次年度の通常予算などで検討するのが筋です。
マンションは「共同体」であり、修繕積立金は住民全員の「共有財産」です。私たち修繕委員は、単に工事を管理するだけでなく、その財産がルールに基づき、最も効果的に使われるよう見守る「番人」でなければなりません。
今回の「掲示板騒動」は、工事の折り返し地点で起きた小さな波風かもしれません。しかし、この違和感をスルーせず、プロセスを正したことは、このマンションが30年、50年と健全に存続していくための大きな一歩になったと確信しています。
残り半分の工事期間、私たちは改めて気を引き締め、住民の皆さんが納得できる「納得の修繕」を目指していきたいと考えています。
※アフィリエイト広告を利用しています。

←ダウンロード可能なブログ記事です。自由に
