管理組合

令和7年改正 マンション標準管理規約の防災業務と管理組合の対策

目安時間 10分
  • コピーしました

「防火管理者は選任している。消防設備点検も毎年実施している――。」

多くのマンションで、そう答えるかもしれません。しかし、もし大地震で停電し、断水し、エレベーターが止まったら…。

そのとき、住民同士で助け合う準備はできているでしょうか。防災物資は足りていますか。誰が安否確認を行うのか決まっていますか。

令和7年改正のマンション標準管理規約では、「防災に関する業務」が具体的に示されました。

これは単なる規約コメントの追加ではありません。“建物管理”だけでは守れない時代になったことを意味しています。

実は、多くのマンションで最も弱い部分が、この「防災」なのかもしれません。だからこそ今、管理組合に求められることがあります。

この記事では、令和7年改正で追加された「防災に関する業務」の内容と、管理組合が現実的に取り組むべき防災対策について分かりやすく解説します。

  • マンション防災は大丈夫?標準管理規約改正で求められる防災対策とは

なぜ「防災に関する業務」コメント追加?

令和7年改正のマンション標準管理規約では、第32条(業務)第十二号に関するコメントとして、「防災に関する業務」の具体例が新たに示されました。

【コメント】第32条関係
⑨ 第十二号に掲げる「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」のうち、「防災に関する業務」とは、平時から管理組合や区分所有者において進めるべき防災対策の取組である防災マニュアルの作成・周知、防災訓練の実施、防災情報の収集・周知、防災用名簿の作成、防災物資等の備蓄等が考えられる。なお、これらの取組については、管理組合が担うのではなく、別に防災活動に取り組む組織を結成した上で、その組織が主導して取り組むことも考えられる。

これまでも、管理組合がマンションの安全や秩序を維持する役割を持つことは理解されていました。しかし実際には、「消防設備点検はやっている」「防火管理者は選任している」という程度で止まっているマンションが少なくありません。

一方で近年は、地震・豪雨・停電・断水などの災害リスクが高まり、マンション単独で一定期間生活しなければならない場面も想定されるようになりました。

特に高層マンションでは、エレベーター停止によって高齢者が階段移動できなくなる問題や、断水によるトイレ使用制限など、深刻な生活問題につながる可能性があります。

こうした背景から、単なる設備管理だけではなく、「居住者同士でどう助け合うのか」「災害時に誰が何をするのか」まで含めて、防災を日常的な管理業務として位置付ける必要が高まったのです。

今回のコメントでは、具体的な防災業務として次のような内容が例示されています。

  • 防災マニュアルの作成・周知
  • 防災訓練の実施
  • 防災情報の収集・周知
  • 防災用名簿の作成
  • 防災物資等の備蓄

つまり、「災害が起きた後」だけではなく、「平時から備えること」が重要であると明確に示された形です。

マンション管理組合で行うべき防災対策とは?

特に注目すべきなのは、「防災マニュアルの作成・周知」が明記された点です。実際には、古いマニュアルが倉庫や管理人室に保管されたまま、住民が内容を知らないケースも多く見られます。

また、防災訓練についても、避難経路の確認だけで終わるのではなく、「エレベーター停止時の対応」「安否確認」「要支援者への対応」など、マンション特有の課題を想定した内容が求められる時代になっています。

多くの管理組合では、「防災が大切」という認識はあります。しかし、実際に行動へ移せているかというと、不十分なケースが少なくありません。

例えば、

  • 防災物資の保管場所が不足している
  • 備蓄品の使用期限を確認していない
  • 防災訓練の参加者が毎回少ない
  • 理事が交代すると防災活動が止まる
  • 高齢化により担い手不足になっている

といった問題があります。

さらに、「誰が主体となって進めるのか」が曖昧なマンションも多いです。

そのため今回のコメントでは、「管理組合ではなく、防災活動に取り組む組織を別に結成し、その組織が主導することも考えられる」と記載されています。

これは非常に現実的な考え方です。

理事会だけで全てを抱え込むと、通常業務に追われ、防災まで手が回らなくなることがあります。

防災委員会や自主防災組織を作り、継続的に活動できる体制を整えることが重要になります。

防災対策で大切なのは、「完璧を目指しすぎないこと」です。最初から大規模な備蓄や本格的な訓練を計画すると、予算や人手の問題で挫折しやすくなります。

例えば最初の一歩として、

  • 非常用トイレを少量備蓄する
  • 災害時連絡先を確認する
  • 災害時用の簡易ライトを準備する
  • 館内掲示で避難場所を周知する
  • 年1回だけでも防災訓練を行う
  • 非常食の保管場所を確認する
  • 停電時のエレベーター対応を確認する

といった小さな取組でも十分意味があります。

「ゼロより一歩前進すること」が重要です。

防災は、一度やって終わりではありません。少しずつ積み重ねることで、マンション全体の防災力が高まっていきます。

防災マニュアル作成が重要になる理由

今回の標準管理規約改正で、特に重要性が高まったのが「防災マニュアル」の存在です。

災害は、いつ発生するか分かりません。しかも、大地震や大規模停電が発生すると、理事長や管理会社とすぐに連絡が取れなくなる可能性もあります。

そのような状況では、「誰が」「何を」「どの順番で行うのか」が決まっていないと、マンション内が混乱しやすくなります。

例えば、

  • 安否確認は誰が行うのか
  • エレベーター閉じ込め時はどう対応するのか
  • 防災物資はどこに保管しているのか
  • 断水時の対応はどうするのか
  • 高齢者や要支援者をどう支援するのか

といった内容を、平時から整理しておく必要があります。

その役割を担うのが、防災マニュアルです。

しかし実際には、「昔作ったまま更新されていない」「住民が存在を知らない」というケースも少なくありません。

防災マニュアルは、作成するだけでは意味がありません。住民へ周知し、定期的に見直し、実際の防災訓練と連動させることが重要です。

また、内容を完璧に作り込もうとすると、途中で止まってしまうことがあります。

最初は、

  • 避難場所
  • 緊急連絡先
  • 備蓄品保管場所
  • 災害時の初動対応

など、最低限の内容から始めるだけでも十分意味があります。

「まず作る」「まず共有する」という一歩が、マンション全体の防災力向上につながっていくのです。

管理組合でのチェック項目は?

今後、管理組合としては、自マンションの防災体制を一度整理して確認することが大切です。
特に次の点はチェックしておきたいところです。

  • 防災マニュアルは存在するか
  • 住民へ周知されているか
  • 防災物資は何があるか
  • 保管場所は適切か
  • 使用期限管理はできているか
  • 災害時の安否確認方法は決まっているか
  • 高齢者や要支援者への対応方針はあるか
  • 理事会任せになっていないか

また、居住者の関心を高める工夫も重要です。「訓練をやりましょう」と呼びかけるだけでは参加率は上がりません。

防災クイズ、防災用品展示、子ども向けイベントなどを組み合わせることで、参加しやすい雰囲気を作ることも効果的です。

今回のコメント追加は、単なる規約解説の補足ではありません。

「防災は設備点検だけでは終わらない」というメッセージが、国から明確に示されたとも言えます。

マンション管理では、これまで「建物を維持する」ことに重点が置かれてきました。しかし今後は、「災害時にも住み続けられる環境をどう作るか」が重要になります。

防災は、管理組合だけの課題ではありません。理事会、管理会社、居住者が少しずつ役割を持ち、継続して取り組むことが必要です。

まずは、「自分のマンションは本当に備えられているか」を確認するところから始めてみることが、防災強化の第一歩になるのではないでしょうか。

防災対策は、単なる安全確保だけではありません。

「管理が行き届いたマンション」として、将来的な資産価値の維持にもつながる重要な取組になっていくでしょう。

まずは理事会や防災委員会で、「自マンションの備蓄品は何があるのか」を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

※アフィリエイト広告を利用しています。
  • コピーしました

   管理組合   0

この記事を書いた人

info-mansion
info-mansion

独身でマンションを購入し、売却を経験した管理人です。失敗や後悔をすることがないように経験から得られた知識を発信することでマンション購入のお役立ちとなるように願っています。「マンションは管理を買え!」と言われるように、購入して後悔のないように願うばかりです。理事長や副理事長の経験もあり、管理委託費の削減も行いました。

info-mansion

info-mansion

独身でマンションを購入し、売却を経験した管理人です。失敗や後悔をすることがないように経験から得られた知識を発信することでマンション購入のお役立ちとなるように願っています。「マンションは管理を買え!」と言われるように、購入して後悔のないように願うばかりです。理事長や副理事長の経験もあり、管理委託費の削減も行いました。


矢印 ←ダウンロード可能なブログ記事です。自由にダウンロードしてお使いください。


マンション情報お役立ちブログのテンプレートは、「THE WORLD2.0」を使用しております。機能的にもデザイン的にも優れたテンプレートです。感想レビューはこちら
 人気記事
最近の投稿
カテゴリー
アーカイブ