マンション住民のなりすまし対策とは?本人確認だけでは防げない理由を解説

マンション住民になりすまして、大規模修繕委員会へ外部業者が入り込んだ事件は、マンション管理における新たなリスクを浮き彫りにしました。
これまでのように「住民だから大丈夫」という性善説だけでは、防ぎきれない時代になっています。顔写真付き身分証による本人確認は基本ですが、それだけでは不十分です。
組合員名簿との照合、事前登録制、代理参加ルールの明確化、インターフォンによる実住確認など、“本人確認+実態確認”を組み合わせた対策が重要です。安心できる管理体制づくりが求められています。
- マンション住民のなりすまし対策とは?
■ 目次 ■
マンション住民なりすまし事件概要

まず、マンション住民なりすまし事件の概要です。このニュースを聞いて驚きました。マンション管理の現場では、これまであまり想定されてこなかった事件だからです。
神奈川県のマンションで、2025年5月、住民らでつくる大規模修繕委員会に、大阪府東大阪市の修繕工事会社の社員の男2人が偽名で入り込んだ。
2人は住居侵入容疑で、6月までに県警に逮捕されました。2人は委員会の議事を妨げ、委員らを誤信させて契約を結ぼうとしたとして住民らに告発され、偽計業務妨害と詐欺未遂の疑いでも今年2月に書類送検された。
このマンションでは、「覆面調査のアルバイト」とうたうチラシがまかれ、住民女性が応募。逮捕された男が女性に接触し、この住民の夫になりすまして修繕委員会の議論に参加していた。
類似の例として、替え玉受験事件などもありました。本人確認の大切さを改めて感じます。『ザ!世界仰天ニュース』でも取り上げられそうな驚く事件です。
本人確認だけで防げるのか?
マンション管理の現場では、区分所有者や居住者になりすまして、総会への出席、議決権行使、共用部利用、管理情報の取得などを行うリスクが以前よりも意識されるようになっています。
国土交通省の「マンション標準管理規約コメント」第35条関係には、次のように書かれています。
「本人確認を適切に実施することが有効と考えられる。具体的には、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等の顔写真付きの身分証明書の提示を求める等の方法により本人確認を行うことが考えられる。」
確かに、顔写真付き身分証明書による確認は基本的な対策として重要です。しかし、それだけで「完全に防げる」と考えるのは危険かもしれません。
今までは、「なりすましはあり得ない。」という性善説で、マンション管理を行ってきましたが、これからは、「なりすましが起こり得る」という前提で管理体制を考える必要があるのかもしれません。
特に大規模マンションにお住まいの方は、理事会・総会・大規模修繕委員会の関係人数も多いため、なりすましに注意しなければなりません。
「本人確認書類だけ」不十分な理由
なりすまし対策というと、まず思い浮かぶのが「本人確認書類の提示」です。
しかし、運転免許証などの本人確認書類を提示しただけでは、本当にそのマンションの居住者なのかまでは分かりません。
仮に偽造書類や、第三者名義の情報を使われた場合、形式的な確認だけでは見抜けない可能性があります。
また、マンションでは「所有者」と「居住者」が一致しないこともあります。賃貸化されている住戸、親族名義、法人所有など、実態が複雑なケースも少なくありません。
つまり、「名前を確認した」だけでは足りず、“その人物が本当に関係者なのか”まで確認する必要があります。
対策は本人確認+アルファ
では、具体的にどのように、マンション住民のなりすましを防ぐ対策を行えば良いのでしょうか。
今までは、「なりすましはあり得ない」という前提でマンション管理が行われてきました。しかし、今後は“不正が起こり得る”ことを前提にしたリスク管理も必要なのかもしれません。
基本的には、本人確認の際に、「本人確認書類の提示+アルファ」を基本とします。
組合員名簿との照合
基本となるのが、管理組合が保有している区分所有者名簿や居住者名簿との照合です。
大規模修繕委員会や専門委員会への出席時には、
- 住戸番号
- 氏名
- 所有者との関係
- 連絡先
などを確認し、事前提出されている情報と一致するかを確認します。
特に大規模修繕委員会のように、工事内容や予算に関わる重要な会議では、委員の登録制を導入し、名簿に登録された人物以外は参加できない仕組みが有効です。
また、委員会メンバーが途中で変更になる場合には、理事会承認を必須とすることで、外部者の紛れ込みを防ぎやすくなります。
ちなみに、マンション標準管理規約の第31 条(届出義務)の2に、組合員名簿等の作成と保管を行うこととなっています。
(ア) 電磁的方法が利用可能ではない場合(組合員名簿等の作成、保管)
第31 条の2 理事長は、組合員名簿及び居住者名簿(以下「組合員名簿等」という。)を作成して保管し、組合員の相当の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。(イ)電磁的方法が利用可能な場合(組合員名簿等の作成、保管)
第31 条の2 理事長は、組合員名簿及び居住者名簿(以下「組合員名簿等」という。)を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員の相当の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
インターフォンで実住確認
「本当にその住戸に住んでいるのか」を確認する方法として有効なのが、インターフォンによる実住確認です。
例えば、会議受付時に、「○○号室の△△様で、お間違いないですか」と確認し、必要に応じて管理員や理事がインターフォンで該当住戸へ連絡を入れます。
実際に居住している家族や本人が応答できれば、形式的な本人確認よりも実態確認に近づきます。
もちろん、毎回すべての参加者に実施するのは現実的ではありません。しかし、
- 初参加の人物
- 普段見かけない人物
- 重要委員会への参加者
など、一定条件の場合に限定して運用するだけでも抑止力になります。
「確認される可能性がある」というだけで、不正目的の侵入は大きく減るでしょう。
また、事前連絡を兼ねることで、「開催日を忘れていた」という行き違いも防ぎやすくなります。「○月○日の○時から、予定通り大規模修繕委員会を開催します。」とアナウンスにもなります。
公共料金の請求書等と照合
必要に応じて、
- 公共料金の請求書
- 住民票
- 郵便物
など、居住実態を補足的に確認できる資料の提示をお願いする方法も考えられます。
氏名や部屋番号など、提示された本人確認書類との一致を確認します。住民票や登記簿謄本などによる確認も考えられますが、すぐに用意できるとは限りません。そのため、公共料金の請求書など、身近な資料を補足的に活用する方法も考えられます。
出席カード・ネームプレートの活用
専門委員会の会議や総会では、受付時に出席カードやネームプレートを配布し、住戸番号と氏名を表示する方法も有効です。
マンション規模が大きい場合、理事や委員全員が顔を把握することは困難です。そのため、「誰が、どの住戸の関係者なのか」を可視化するだけでも、不正抑止につながります。
事前登録制・代理参加ルールの明確化
理事会や大規模修繕委員会などでは、事前登録制を導入することも有効です。
例えば、
- 氏名
- 住戸番号
- 所有者との関係
- 連絡先
などを事前に届け出てもらい、登録者のみ参加可能とします。
また、家族や代理人が出席する場合には、委任状や理事会承認を必要とすることで、第三者の紛れ込みを防ぎやすくなります。
マンション管理では、「住民同士だから大丈夫」という前提で運営されてきた面があります。しかし、今回のような事件を見ると、本人確認や参加資格の確認を適切に行うことの重要性が、これまで以上に高まっているのかもしれません。
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