外国人のマンション購入規制はなぜ見送り?価格高騰・管理組合への影響を解説

「外国人がマンションを買うから価格が上がる。」
そんな声を聞いたことはありませんか。実際、都市部ではマンション価格の高騰が続き、外国人による不動産購入への関心が高まっています。
そのため政府が外国人のマンション取得を規制するのではないかと注目されていました。
しかし、政府は今回、外国人によるマンション取得規制を当面見送る方針を示しました。
なぜ、規制は見送られたのでしょうか。また、代わりに強化される「重要土地」の規制とはどのようなものなのでしょうか。
さらに、この問題はマンション管理組合にも決して無関係ではありません。この記事では、規制見送りの理由と管理組合への影響について分かりやすく解説します。
- 外国人によるマンション取得規制が見送られた理由
- マンション価格高騰との関係
- 安全保障上の土地規制の内容
- 管理組合が受ける影響
- 国内管理人制度との関係
- 今後備えるべきポイント
■ 目次 ■
マンション価格高騰の原因は外国人なのか?

「最近、マンション価格が高すぎて手が出ない。」
そんな声を耳にする機会が増えました。都市部では新築マンション価格の上昇が続き、「外国人投資家が買い占めているからではないか」と感じている人も少なくありません。
ニュースやSNSでも、「外国人による不動産購入を規制すべきだ」という意見がたびたび話題になります。実際に海外の一部の国や地域では、外国人による住宅購入に制限を設けている例もあります。
そのため、「日本も同じような規制を導入するのではないか」と注目が集まっていました。
政府は外国人のマンション取得規制を検討していた
政府は2026年春から、有識者会議を設置し、外国人による土地やマンションの取得について検討を進めてきました。
背景には、自衛隊基地や重要インフラ周辺の土地取得に対する安全保障上の懸念があります。また、一部の与党議員からは、外国人による投機目的の購入がマンション価格高騰の一因になっているとして、取得規制を求める声も上がっていました。
しかし、2026年6月に報じられた政府方針では、外国人による一般マンションの取得規制は当面見送られることになりました。
一方で、自衛隊基地周辺などの重要土地については、これまで以上に規制を強化する方向で検討が進められています。
外国人のマンション購入規制はなぜ見送られたのか?
このニュースを見て、「なぜ規制しないのだろう?」と疑問に思った方も多いでしょう。
見送りの理由を整理すると、
- WTOルールとの整合性
- 財産権への配慮
- 規制の抜け道があること
- 価格高騰との因果関係が限定的であること
などが挙げられます。
実は、外国人だけを対象としたマンション取得規制には大きな課題があります。
日本は世界貿易機関(WTO)の枠組みの中で、外国人の土地取得を広く制限する制度を設けていません。そのため、日本人は購入できるのに外国人だけ購入できないという制度を作ることには慎重な意見が強くあります。
また、外国人本人を規制しても、日本法人を設立したり、日本人名義を利用したりすることで規制を回避できる可能性があります。
つまり、「外国人だけを規制しても十分な効果が得られない」という問題があるのです。
価格高騰の原因は外国人だけではない
外国人購入者が増えていることは事実ですが、それだけでマンション価格高騰を説明することはできません。
近年の価格上昇には、
- 建築資材価格の上昇
- 人件費の高騰
- 円安の進行
- 土地取得費の上昇
- 建設業界の人手不足
など、さまざまな要因が影響しています。
国土交通省の調査でも、東京都内で売買された新築マンション購入者のうち外国居住者の割合は限定的であり、「外国人購入を規制すれば価格が下がる」と断定できる状況ではありません。
そのため政府は、まず実態把握を進めながら有効な対策を検討する方針を選択したと考えられます。
政府が本当に重視しているのは安全保障
今回の報道で注目すべきなのは、マンション規制ではなく「重要土地」の規制強化です。
政府が問題視しているのは、
- 自衛隊基地周辺
- 防衛関連施設周辺
- 原子力施設周辺
- 重要インフラ周辺
などの土地取得です。
こうした土地は国家安全保障に関わるため、取得者の国籍を問わず規制を強化する方向で議論が進んでいます。
つまり政府の関心は、「マンション価格対策」よりも「安全保障対策」にあると言えるでしょう。
海外では外国人の不動産購入を規制している国もある
外国人による不動産購入を巡る問題は、日本だけの課題ではありません。海外では住宅価格の高騰や投機目的の購入を抑制するため、外国人の不動産取得を規制している国もあります。
例えば、カナダでは住宅価格の高騰対策として、一時的に外国人による住宅購入を制限する措置が導入されました。
また、ニュージーランドでは原則として外国人による既存住宅の購入を禁止しています。シンガポールでも、外国人が住宅を購入する際に追加の税金を課す制度が設けられています。
このように各国は自国の住宅事情に応じた規制を行っています。
しかし、日本は国際的なルールや不動産市場への影響を考慮し、現時点では外国人のマンション購入規制よりも、安全保障上重要な土地への対応を優先する方針を選択しています。
管理組合にとって無関係な話ではない
このニュースは国の政策の話であり、マンション管理組合には関係ないようにも見えます。
しかし実際には、多くの管理組合が外国人所有者や海外居住の区分所有者への対応という課題を抱えています。
例えば、
- 所有者と連絡が取れない
- 総会資料が届かない
- 理事就任が困難
- 長期空室が発生する
- 民泊利用を巡るトラブルが起きる
といった問題です。
管理組合が直面する課題は、「外国人だから」ということではなく、「所有者との連絡や管理が適切に行えるか」という点にあります。
また、外国人所有者や海外居住者が増えることで、多言語による案内や管理ルールの周知が必要になる場合があります。
国内管理人制度との関係
「マンション標準管理規約『国内管理人』!新規用語は試験で問われやすい!」で綴ったように、国内管理人の届出が重要になってきます。
生活習慣や文化の違いから、ゴミ出しや共用部分の利用方法などを巡って認識の差が生じることもあります。
そのため管理組合には、トラブルを未然に防ぐための分かりやすいルール整備と丁寧な情報発信が求められるでしょう。
管理組合が今後備えるべきポイント
今後も外国人によるマンション購入が完全になくなることは考えにくいでしょう。
また、海外在住の日本人が区分所有者となるケースも増えています。
そのため管理組合には、
- 緊急連絡先の届出制度
- 賃貸利用時の届出制度
- 管理規約の多言語化
- 区分所有者名簿の定期更新
などの対応が求められる場面が増えていくと考えられます。
特に近年の法改正では、「所在等不明区分所有者」への対応が重要なテーマとなっています。
所有者が日本人か外国人かではなく、適切に連絡が取れ、管理組合の運営に参加できる状態を維持することが重要なのです。
政府は外国人によるマンション取得規制を検討したものの、当面は見送る方針を示しました。
一方で、自衛隊基地や重要インフラ周辺の土地については、安全保障の観点から規制強化が進められる見込みです。
管理組合としては、外国人所有者の増加そのものよりも、「所有者との連絡体制をどう確保するか」が重要な課題になります。
今後は、区分所有者名簿の更新、国内管理人の届出、緊急連絡先の把握などを進めながら、国籍を問わず適切な管理体制を整えていくことが求められるでしょう。
まとめ
政府は外国人によるマンション取得規制を検討したものの、国際ルールとの整合性や財産権への配慮、規制の実効性などの課題から、当面は見送る方針を示しました。
また、マンション価格の高騰は外国人購入だけが原因ではなく、建築費や人件費の上昇など複数の要因が影響しています。
一方で、自衛隊基地や重要インフラ周辺の土地については、安全保障上の観点から規制強化が進められる見込みです。
マンション管理組合としては、外国人所有者の増加そのものではなく、所有者との連絡体制や管理ルールの周知をどう確保するかが重要になります。
外国人所有者の増加が見込まれる時代だからこそ、管理組合には「誰が所有しているか」ではなく、「誰と連絡が取れるか」を重視した運営が求められています。
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