マンション修繕談合で38社に排除命令へ!設計監理方式は本当に安心か?

Yahoo!ニュースで「マンション修繕談合、38社に排除命令へ」という記事を見て驚きました。今回問題となったのは、これまで透明性が高いと考えられてきた「設計監理方式」を採用した大規模修繕工事だったからです。
マンションの大規模修繕工事に関わったことがある人なら、一度はそんな説明を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「談合は公共工事の話では?」
「設計監理方式でも不正が起きるの?」
「そもそも設計監理方式と責任施工方式は何が違うの?」
そう疑問に感じた方も多いでしょう。
実は今回の問題は、単なる業界ニュースではありません。これから大規模修繕工事を迎える全国の管理組合にとって、工事会社の選び方やコンサルタントとの付き合い方を見直すきっかけになる可能性があります。
マンション大規模修繕工事を巡る談合問題で38社に排除命令方針。設計監理方式と責任施工方式の違い、談合が起きた背景、管理組合が注意すべきポイントを分かりやすく解説します。
「うちのマンションは大丈夫だろうか」と感じた方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
~ この記事で分かること ~
- 設計監理方式と責任施工方式の違い
- 大規模修繕工事の発注方法の仕組み
- マンション修繕談合問題の概要
- なぜ設計監理方式で談合が起きたのか
- コンサルタントの役割と問題点
- 談合が管理組合へ与える影響
- 管理組合が注意すべきポイント
- 今後の大規模修繕工事の課題
■ 目次 ■
設計監理方式と責任施工方式の違いを分かりやすく解説

「マンションの大規模修繕工事で談合があったらしい。」
Yahoo!ニュースの「マンション修繕談合、38社に排除命令へ 計16億円課徴金方針」というニュースを見て、私は驚きました。
公正取引委員会は、施工会社と設計コンサルタント計約40社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち38社に再発防止などを求める排除措置命令を出す方針を固めたという。
そして、公正取引委員会は計16億円の課徴金納付命令も検討していると報じられています。
なぜなら、今回問題となったのが「設計監理方式」と呼ばれる、これまで透明性が高いとされてきた発注方式だったからです。
マンションの大規模修繕工事は数千万円から数億円規模になることも珍しくありません。そのため、どのような方法で工事会社を選ぶのかは、管理組合にとって非常に重要な問題です。
しかし、多くの区分所有者は「設計監理方式」「責任施工方式」という言葉を聞いても違いがよく分からないのではないでしょうか。
そこで今回は、ニュースをきっかけに気になった疑問について分かりやすく解説します。
マンション大規模修繕談合問題とは?38社に排除命令方針の概要
2025年から2026年にかけて報道されたマンション大規模修繕工事を巡る談合問題では、多数の施工会社に対して公正取引委員会が排除措置命令などを検討していると報じられました。
このニュースを見た多くの人が、「そもそもマンション修繕で談合なんてできるの?」と思ったのではないでしょうか。
公共工事の談合はイメージしやすいですが、マンションの場合の発注者は自治体ではなく管理組合です。
つまり、私たち一般の区分所有者が工事を発注していることになります。本来なら複数の業者が競争し、適正価格で工事が決まるはずです。
しかし、もし最初から受注する会社が決まっていたとしたらどうでしょう。見積書だけを見ると競争しているように見えても、実際には競争が行われていなかった可能性があります。
今回の問題は、まさにその点が問われているのです。
談合が違法とされる根拠を具体例で説明
公正取引委員会は施工会社や設計コンサルタントによる「不当な取引制限」があったと判断した根拠は、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)第3条にあります。
独占禁止法 第三条(私的独占又は不当な取引制限の禁止)
事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
ここでいう「不当な取引制限」の代表例が談合です。なぜ談合が違法なのか本来なら、
- A社:1億円
- B社:9,800万円
- C社:9,500万円
というように競争が行われます。
しかし談合では、
- 今回はA社が受注
- B社とC社は高い金額を提出
- 次回はB社が受注
などと事前に決めてしまいます。
すると競争がなくなり、
- 工事費が高くなる
- 発注者が損をする
- 市場がゆがめられる
ことになります。
マンションの場合は、最終的に損をするのは修繕積立金を負担している区分所有者です。
独占禁止法違反が悪質な場合は、
- 排除措置命令
- 課徴金納付命令
だけでなく、
- 5年以下の拘禁刑
- 5億円以下の罰金(法人はさらに高額)
などの刑事罰の対象になることもあります。
そのため談合は単なるルール違反ではなく、法律違反なのです。
管理組合は被害者なの?
今回のニュースを受けて読者が疑問に思うのは、「談合って法律違反なのは分かるけど、管理組合は被害者なの?」という点です。
答えは、ほぼ間違いなく「被害者」です。
もし競争が行われていれば、
- 修繕積立金の値上げを避けられたかもしれない
- 一時金徴収が不要だったかもしれない
- 修繕範囲を拡大できたかもしれない
からです。
設計監理方式とは?大規模修繕工事で採用される理由
まず理解しておきたいのが「設計監理方式」です。
多くのマンションで採用されている代表的な発注方法です。
流れとしては、
- 管理組合が設計コンサルタントを選ぶ
- コンサルタントが建物診断を行う
- 修繕内容を設計する
- 施工会社を募集する
- 管理組合が施工会社を選定する
- コンサルタントが工事監理を行う
という手順になります。
簡単に言えば、「設計する人」と「工事する人」を分ける方法です。
この方式の最大のメリットは第三者のチェック機能です。
施工会社だけに任せるのではなく、専門家が工事内容や金額を確認するため、不必要な工事や過大な見積を防ぎやすいと考えられてきました。
そのため、多くの管理組合で採用されてきた実績があります。
責任施工方式とは?設計監理方式との違い
一方で「責任施工方式」という方法もあります。こちらは施工会社が中心となって工事を進めます。
流れは非常にシンプルです。
- 管理組合が施工会社を選ぶ
- 施工会社が調査する
- 施工会社が工事内容を提案する
- 工事を実施する
という形です。
設計コンサルタントを別途依頼しないため、費用や期間を抑えやすいメリットがあります。
しかしその反面、
- 本当に必要な工事なのか
- 工事金額は妥当なのか
- 修繕範囲は適切なのか
をチェックする第三者がいません。
そのため、「施工会社の提案をどこまで信頼するか」が重要になります。
なぜ設計監理方式で談合が起きたのか?コンサルタントの役割に注目
今回のニュースで多くの人が疑問に思ったのはここでしょう。
「透明性が高いはずの設計監理方式でなぜ談合が起きたのか」
本来の設計監理方式では、コンサルタントは中立的な立場です。
施工会社にも管理組合にも偏らず、公平な判断を行うことが求められます。
ところが、もしコンサルタントが特定の施工会社と密接な関係を持っていたらどうなるでしょうか。
管理組合は、「複数社を比較検討している」と思っていても、実際には受注会社が事前に決まっている可能性があります。
つまり、制度そのものに問題があるのではなく、制度を運用する人の中立性が失われると仕組みが機能しなくなるのです。
大規模修繕工事で談合が起きやすい3つの理由
大規模修繕工事には談合が発生しやすい要素があります。
理由①:工事費が数億円規模になり利益が大きいから
その理由の一つが工事金額の大きさです。100戸規模のマンションでも工事費は数億円になることがあります。仮に、数パーセント価格が上乗せされるだけでも、大きな利益になります。
理由②:管理組合は工事の専門家ではないから
専門知識が十分でない中で、
- 見積書の比較
- 工法の妥当性
- 工事範囲の適正性
を判断しなければなりません。
管理組合の役員は建築の専門家ではありません。理事長や理事の多くは一般の区分所有者です。
理由③:設計コンサルタントの推薦が大きな影響を持つから
管理組合の理事や修繕委員会は建築の専門家ではありません。そのため、施工会社選定の際には設計コンサルタントの意見を重視する傾向があります。
「この会社が技術的に優れています」
「この見積内容が適正です」
と説明されれば、その判断を信頼する管理組合も多いでしょう。
もしその推薦が公平ではなかった場合、競争入札そのものが形だけになってしまう可能性があります。
管理組合が談合を防ぐために確認したいポイント
今回のニュースを受けて、「設計監理方式は危険なのでは」と感じた人もいるかもしれません。
しかし、設計監理方式そのものが悪いわけではありません。
むしろ重要なのは、「誰がチェック役をチェックするのか」という視点です。
例えば、
- コンサルタント選定を慎重に行う
- 見積参加業者の選定理由を確認する
- 修繕委員会を設置する
- セカンドオピニオンを活用する
- 工事内容を住民へ丁寧に説明する
といった取り組みがこれまで以上に重要になるでしょう。
今回の談合問題で管理組合が受ける影響とは
今回の談合問題は、単に施工会社や設計コンサルタントの問題だけではありません。実際に影響を受けるのは、修繕積立金を負担しているマンションの区分所有者です。
もし競争原理が働かず、本来より高い金額で工事が発注されていたとすれば、その費用は最終的に管理組合が負担することになります。
工事費が上昇すれば、将来の修繕積立金不足につながり、積立金の値上げや一時金徴収が必要になる可能性もあります。
また、「設計監理方式だから安心」だとは限りません。大規模修繕工事を行う際には、談合が行われていないことをチェックする必要もあります。
また、今回の問題によって「大規模修繕工事は本当に適正価格で行われているのか」という不安を抱く区分所有者も増えるかもしれません。
今後は工事内容だけでなく、施工会社の選定過程やコンサルタントの中立性についても説明責任が求められるでしょう。
まとめ|設計監理方式でも談合は起こり得る時代に
今回のマンション修繕談合問題は、多くの管理組合に衝撃を与えました。設計監理方式でも談合は起こり得る時代と言えるのかもしれません。
これまで透明性が高いと考えられていた設計監理方式で問題が発生したことで、「どの方式を選ぶか」だけでなく、「どのように監視するか」が問われる時代になったと言えます。
大規模修繕工事はマンションの資産価値を維持するために欠かせない重要な事業です。
だからこそ管理組合任せ、コンサルタント任せにするのではなく、区分所有者一人ひとりが関心を持つことが、結果として適正な工事につながるのではないでしょうか。
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