マンション大規模修繕の談合事件とは?管理組合が知っておきたい手口と対策

「マンションの大規模修繕工事で談合があったって本当?」「うちのマンションの工事は大丈夫だったの?」「管理組合はどうやって談合を見抜けばいいの?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
大規模修繕工事は、数千万円から場合によっては1億円を超えることもある大きな工事です。しかも、その原資となるのは、区分所有者が毎月コツコツ積み立ててきた修繕積立金です。
だからこそ、施工会社を決める「見積もり合わせ」や「業者選定」が公平に行われているのかは、管理組合にとって非常に重要な問題です。
実際、2025年3月には公正取引委員会がマンション大規模修繕工事をめぐる談合疑惑について関係企業への立入検査を行い、2026年6月には施工会社36社と設計コンサルタント2社の計38社をめぐる問題が報じられました。
報道では、受注する会社や価格を事前に調整していた疑いがあり、100件を超える工事で繰り返されていたとされています。課徴金は合計約16億円となる見通しと報じられました。
つまり、「複数社から見積もりを取ったから安心」とは限らないということです。
~ この記事で分かること ~
- マンション大規模修繕の談合とは何か
- 談合が行われると何が問題なのか
- 設計コンサルタントが関係するケース
- 管理組合が注意したい不自然なサイン
- 談合を防ぐための業者選定方法
- 理事会・修繕委員会が確認したいポイント
■ 目次 ■
マンション大規模修繕の談合とは?
そもそも「談合」とは何なのでしょうか。
簡単にいえば、本来なら複数の施工会社が自由に競争して価格や条件を提示するところ、事前に「今回はA社が受注する」「B社は高い金額を出す」といった調整を行うことです。
大規模修繕工事では、管理組合が複数の施工会社から見積もりを取得し、その金額や提案内容を比較して施工会社を決めることがあります。
ところが、最初から受注する会社が決まっていたとすれば、表面上は「3社から見積もりを取った」という形になっていても、実際には十分な競争が行われていない可能性があります。
管理組合が知らないところで受注会社や価格が調整されていたら、比較表を見ただけでは分かりにくいのが怖いところです。
実際、2026年6月の報道では、設計コンサルタント2社と施工会社36社について、関東地方のマンション大規模修繕工事で受注予定会社や価格を事前に調整していたとされています。
もちろん、すべての設計コンサルタントや施工会社が談合をしているわけではありません。ここは非常に重要です。
「ニュースに会社名が出ていたから、この会社に頼んだマンションは全部ダメだった」と単純に判断することもできません。個別の工事については、契約経緯や見積もり、選定過程などを確認する必要があります。
大規模修繕の談合でなぜ管理組合が狙われるのか?
では、なぜマンションの大規模修繕工事で、このような問題が起こり得るのでしょうか。
大きな理由の一つが、管理組合と工事関係者との間に大きな知識差があることです。
管理組合の理事や修繕委員は、普段から建築工事をしているわけではありません。会社員や自営業者、退職した人など、さまざまな区分所有者が順番に役員になります。
一方で、施工会社や設計コンサルタントは大規模修繕工事を仕事にしています。工事費が1億円、2億円という話になれば、一般の区分所有者からすると「この金額が高いのか安いのか」すら判断するのが難しいでしょう。
「この工事は必要です」「この材料が適切です」「この会社が一番おすすめです」と説明されると、専門知識がない管理組合は、その説明を信じるしかない場面もあります。
横浜市の資料でも、大規模修繕をめぐる問題の背景として、事業者と管理組合の間にある「情報の非対称性」が指摘されています。
これは管理組合にとって、決して他人事ではありません。
「専門家に任せれば安心」と考えたくなりますが、専門家に任せることと、管理組合が何も確認しないことは別問題なのです。
大規模修繕の談合はどのような手口なのか?
受注する会社を事前に決める
談合で考えられる典型的な方法の一つが、あらかじめ受注する会社を決めてしまうことです。
例えば、A社・B社・C社の3社から見積もりを取ったとします。
| 施工会社 | 見積金額 | 表面的な結果 |
|---|---|---|
| A社 | 8,000万円 | 最低価格 |
| B社 | 8,500万円 | 2番目 |
| C社 | 9,000万円 | 3番目 |
このように金額だけを見ると、「A社が一番安いからA社に決めよう」となります。
しかし、もし事前にA社が受注することが決まっていて、B社とC社が意図的に高い金額を提示していたとすれば、管理組合は本当の意味で競争させたことにはなりません。
もちろん、実際の見積金額が高いからといって、それだけで談合と判断することはできません。材料費、人件費、工事範囲などによって金額は変わります。
設計コンサルタントが関係するケース
もう一つ注意したいのが、設計コンサルタントとの関係です。
大規模修繕工事では、管理組合が設計コンサルタントなどに建物調査、工事仕様書の作成、施工会社選定のサポート、工事監理などを依頼することがあります。
本来であれば、管理組合の利益を考えて中立的にサポートしてもらうことが期待されます。
ところが、2026年6月に報じられた事件では、施工会社36社に加えて設計コンサルタント2社が関係し、受注した会社から工事代金の数%程度をバックマージンとして受け取る覚書を交わしていたと報じられています。
これが事実であれば、管理組合が「第三者だから安心」と思って依頼したコンサルタントと施工会社の間に、管理組合が知らない金銭的な関係が存在することになります。
「第三者だから安心」という思い込みこそ、管理組合が注意したいポイントです。
私のマンションでも大規模修繕工事中に談合ニュースが……
実は、私が所有するマンションでも大規模修繕工事が行われました。
ちょうど大規模修繕工事を行っているときに、今回のような談合事件のニュースを耳にしたのです。
当然ですが、「えっ、うちのマンションは大丈夫なの?」と思いました。
工事関係者や管理会社からは、「私が所有するマンションの大規模修繕工事とは無関係です」と説明を受けました。
でも、正直なところ、本当かどうか分からなかったのが現実です。(疑い始めると、見積書の数字まで怪しく見えてくるんですよね。)
だからといって、管理組合だけで「談合があったのでは?」と調査することも簡単ではありません。
結果として、私の所有するマンションでは無事に大規模修繕工事が終わりましたけどね。
この経験から感じたのは、工事が終わってから疑うのではなく、施工会社を決める前から透明性を意識することが大切だということです。
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管理組合が談合を防ぐためにできる対策
複数社から見積もりを取る
まず基本になるのが、複数の施工会社から見積もりを取ることです。
ただし、単純に「3社から見積もりを取ったからOK」ではありません。
3社が同じ条件で見積もりを作成しているのか、工事範囲や仕様が統一されているのかを確認する必要があります。
比較表を作成するときも、総額だけを見るのではなく、外壁、防水、鉄部、シーリングなど、工事項目ごとに比較すると違いが見えやすくなります。
施工会社の選定過程を記録する
「なぜこの会社を選んだのか」を議事録に残すことも重要です。
例えば、価格だけではなく、過去の施工実績、工事体制、現場代理人、保証内容、アフターサービスなど、どの項目を評価したのかを記録します。
理事会だけで決めるのではなく、修繕委員会などで比較検討した内容を残しておけば、後から見ても判断過程が分かります。
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設計コンサルタントの利益相反を確認する
設計コンサルタントを利用する場合は、「どの会社から報酬を受け取っているのか」「施工会社から紹介料などを受け取る関係がないのか」といった利益相反について確認しておきたいところです。
もちろん、質問したからといって談合が防げるわけではありません。
しかし、管理組合が何も確認しないより、「施工会社との金銭的な関係はありませんか?」と確認するだけでも、透明性を高める効果はあります。
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大規模修繕の見積もりが高いだけで談合とは限らない
ここで注意したいのが、「工事費が高い=談合」と考えてしまわないことです。
例えば、同じ築30年のマンションでも、建物の規模、外壁の劣化状況、防水の状態、タイルの浮き、鉄部の腐食などによって必要な工事は変わります。
さらに、人件費や資材価格が上昇すれば、10年前と現在で同じ工事内容でも金額が高くなることがあります。
そのため、1社だけ見積もりが高かったからといって、すぐに「談合だ」と決めつけるのは危険です。
むしろ、「なぜこの金額になったのかを説明できる状態にしておく」ことが管理組合にとって重要です。
工事項目、数量、単価、施工方法、工事範囲などを確認し、複数社の提案を比較することで、不自然な部分がないかを検討できます。
大規模修繕工事で「なんとなくおかしい」と感じたら?
管理組合で大規模修繕工事を進めていると、「なぜこの会社ばかり推薦されるの?」「他社の見積もりが妙に高い」「質問しても具体的な説明がない」と感じることがあるかもしれません。
そんなときに大切なのは、感情的に「談合だ!」と決めつけることではありません。
まず、見積書、工事仕様書、業者選定資料、議事録、コンサルタントとの契約書などを確認しましょう。
そして、「この会社を選んだ理由」「他社との価格差」「施工会社とコンサルタントの関係」などを一つずつ確認していきます。
必要であれば、マンション管理士、建築士、弁護士など、利害関係のない第三者へ相談する方法もあります。
【関連記事】大規模修繕工事の進め方で違和感!知らない追加工事が!
まとめ|大規模修繕の談合から管理組合が学ぶこと
マンションの大規模修繕工事は、管理組合にとって数年に一度しか経験しない大きなイベントです。
しかも、工事費の原資は区分所有者が長年積み立ててきた修繕積立金です。
だからこそ、「専門家に任せれば大丈夫」と丸投げするのではなく、施工会社の選定過程や見積もりの比較、設計コンサルタントとの関係などを管理組合自身も確認することが重要です。
今回の談合問題では、施工会社36社と設計コンサルタント2社の計38社が関係し、約16億円の課徴金が見込まれると報じられました。また、2025年3月には関係企業への立入検査が行われており、2026年7月には岐阜・愛知・三重の東海3県でも大規模修繕工事の談合疑惑をめぐって、施工業者や設計コンサルタントへの立入検査が報じられています。
これは、関東だけの特殊な問題として片付けてよい話ではないでしょう。
大規模修繕工事を予定している管理組合なら、「安い会社を探す」だけではなく、「公平な競争が行われる仕組みを作る」ことを意識したいところです。
「うちのマンションは大丈夫」と思いたくなる気持ちは分かります。(私も自分のマンションの工事中はそう思いたかったです。)
でも、数千万円、場合によっては1億円を超える工事です。疑うためではなく、区分所有者の大切な修繕積立金を守るために、見積もり・業者選定・契約までの過程を透明にすることが、これからの管理組合には求められるのではないでしょうか。
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