総会通知5日前はNG?令和7年改正標準管理規約第43条を徹底解説

「総会の案内は、いつも開催日の1週間前くらいに送っているから問題ない――。」
そう考えている管理組合は少なくありません。しかし、令和7年改正標準管理規約では、総会の招集手続に関するルールが見直され、これまで可能だった「5日前通知」が認められなくなりました。
「たった2日増えただけでは?」と思うかもしれません。ところが、この改正の背景には区分所有法の大きな見直しがあり、区分所有者の権利を守るための重要な考え方が隠されています。
もし従来どおりの感覚で総会を運営していると、手続上のトラブルや無効を疑われるリスクにつながる可能性もあります。
なぜ?通知期間は延長されたのか。管理組合は何を見直すべきなのか。改正の背景と第43条の内容を分かりやすく解説します。
- 総会通知5日前はNG?
- 緊急時でも最低1週間前通知が必要
- 区分所有法改正との関係を解説
■ 目次 ■
第43条(招集手続)とは?総会招集通知の基本ルールを解説

令和7年改正標準管理規約では、第43条(招集手続)が見直され、総会招集通知のルールが変更されました。これまで緊急時に認められていた「5日前通知」は原則として認められなくなります。
今回の改正は、一見すると「5日 → 1週間に変わっただけ」に見えますが、実は区分所有法改正との整合を図るための重要な変更です。
■改正前
第43条(招集手続)
9 第1項(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。
■改正後
第43条(招集手続)
8 第1項(会議の目的がマンション再生等に係る決議であるときを除く。)にかかわらず、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、1週間を下回らない範囲において、第1項の期間を短縮することができる。
まず、第43条(招集手続)は何を定めているのでしょうか。第43条は、総会を開くときの「事前通知ルール」です。
理事長は総会を開く際、
- 開催日時
- 開催場所
- 議題
- 議案の要領
などを区分所有者へ通知しなければなりません。
つまり、「○月○日に総会を開くので来てください」という案内を何日前までに送るかを定めた条文です。
■「議案の要領」については、下記も参照ください。
マンション総会通知の「議案の要領」とは?標準管理規約改正で『○○の件』はNGに
第43条改正で何が変わった?5日前通知から1週間通知へ
改正前は、緊急時なら、5日前までに短縮可能。改正後は。緊急時でも、1週間前(7日前)までしか短縮できないという内容です。
つまり、
| 通常 | 緊急時 | |
|---|---|---|
| 改正前 | 2週間前 | 5日前まで短縮可能 |
| 改正後 | 2週間前 | 1週間前まで短縮可能 |
となります。
実質的には、「どんなに急いでも最低1週間は通知期間を確保しなさい」というルールになりました。
なぜ通知期間が延長されたのか?区分所有法改正との関係
背景には令和6年の区分所有法改正があります。
改正区分所有法では、総会決議によって行える事項が大幅に増えました。
例えば、
- 所在等不明区分所有者への対応
- 管理不全専有部分への措置
- マンション再生関連決議
- 共用部分の管理に関する重要事項
などです。
これらは区分所有者の権利に大きく影響します。そのため国土交通省は、「通知期間が短すぎると区分所有者が内容を十分検討できない」と考えました。
5日間では、
- 郵送が届かない
- 出張中で確認できない
- 議案を理解する時間がない
という問題が起こり得ます。
そこで、最低でも1週間は確保する方向へ改められたのです。
具体例で分かる通知期間の考え方
例えば、総会開催日:7月20日の場合
改正前
→ 緊急時は7月15日以降の招集通知でも可能
改正後
→ 緊急時でも7月13日までに招集通知が必要
というのが、具体的な通知期間の例です。
「マンション再生等に係る決議」に変更された理由
ここも重要な改正ポイントです。
改正前は、建替え決議又はマンション敷地売却決議だけが対象でした。改正後は、マンション再生等に係る決議へ変更されています。
これは区分所有法改正により、マンション再生手法が増えたためです。例えば、
- 建替え
- 敷地売却
- 取り壊し
- 一棟リノベーション
- 敷地分割
などが含まれます。
つまり、再生に関する重要決議については、緊急時であっても通知期間短縮を認めない
という考え方です。
第43条改正で管理組合が注意すべき3つのポイント
管理組合が注意すべきことは何でしょうか。
「急ぐから5日前」はもうNG
過去の規約運用で、「5日前通知で臨時総会を開こう」というケースがあった管理組合は要注意です。
標準管理規約改正後は、最低でも7日前が必要です。
郵送日ではなく到達日を意識する
総会通知は、発送日だけではなく、区分所有者が受け取るまでの期間も考慮する必要があります。
最近は郵便事情の変化で、以前より到着に時間がかかることがあります。ギリギリの日程設定は避けた方が安全です。
議案の要領も同時に送る
令和7年改正では、総会招集通知に「議案の要領」を記載することも重視されています。
単に、「大規模修繕工事の件」だけでは不十分です。
例えば、「工事金額○○円、工期○か月、修繕積立金から支出する」など、判断材料を示す必要があります。
通知期間が延びたのも、区分所有者が議案を十分検討できるようにするための改正と考えると理解しやすいでしょう。
管理組合への実務アドバイス
今回の改正で管理組合が意識すべきことは、「早めの総会準備」です。
これまでは、
- 総会資料作成
- 理事会承認
- 通知発送
を直前に行うケースもありました。
しかし今後は、最低でも1週間前通知が必要になるため、議案の確定や資料作成を従来より前倒しで進める必要があります。
今回の改正で最も影響を受けるのは臨時総会です。
従来は緊急案件が発生した場合、5日前通知で総会を開催できました。しかし今後は最低でも1週間前通知が必要になります。
大規模修繕や設備故障など急を要する案件でも、より早い準備が求められるようになります。
「緊急だから短縮できる」という発想ではなく、「緊急でも最低1週間は必要」という認識に改めることが重要です。
この改正の本質は、単なる日数変更ではなく、「区分所有者が議案内容を理解し、適切に判断するための時間を確保すること」にあると言えるでしょう。
総会招集通知は、各マンションで定めたルールに従う必要があります。
第43条改正対応チェックリスト
□ 管理規約を改正内容に合わせて確認した
□ 臨時総会でも1週間前通知を徹底する
□ 郵送日ではなく到達日を考慮する
□ 議案の要領を具体的に記載する
□ 総会準備スケジュールを前倒しする
今回の改正は単なる「5日から7日への変更」ではありません。
区分所有者が議案内容を十分に理解し、適切に判断するための時間を確保することが目的です。
管理組合は、総会招集通知の作成や議案準備を従来より前倒しで進める体制づくりが求められるでしょう。
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