リノベーションでキッチンの位置を変えることはできる?PSの位置と失敗しない方法を解説

「マンションをリノベーションするなら、キッチンの位置を変えたい」
「壁付けキッチンを対面式にしたい」「キッチンをリビングの中央に移動したい」「せっかくリノベーションするなら、間取りも大きく変えたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
マンションのリノベーションでは、壁紙や床を新しくするだけではなく、キッチン・浴室・洗面所・トイレなどの水回りを変更することで、住み心地を大きく変えることができます。
しかし、ここで注意したいのがPS(パイプスペース)です。
キッチンは「好きな場所へ自由に移動できる」とは限りません。
特にマンションでは、給水管・給湯管・排水管などの位置や勾配、既存のPSとの関係によって、希望していた場所へキッチンを移動できない場合があります。
私自身、マンションのことを調べていると、「間取りを自由に変更できるリノベーション」という言葉だけを見ると、何でもできるように感じてしまいます。しかし、実際には建物の構造や配管という「見えない部分」が大きく関係します。
この記事では、マンションのリノベーションでキッチンの位置を変えるときに知っておきたいPSの問題、キッチンの種類、費用、注意点について分かりやすく解説します。
~ この記事で分かること ~
- キッチンの位置を変えられない理由
- PS(パイプスペース)とキッチンの関係
- キッチンの形による違い
- キッチン移動にかかる費用
- リノベーションで失敗しない確認方法
■ 目次 ■
リノベーションでキッチンの位置は変えられる?

結論からいうと、マンションのリノベーションでキッチンの位置を変更することは可能です。
ただし、「どこへでも自由に移動できる」という意味ではありません。
特に重要なのが、給水・給湯・排水などの配管です。
キッチンには水を供給する必要があります。そして、使用した水を排水管へ流さなければなりません。
給水管は比較的移動させやすい場合がありますが、排水管については注意が必要です。排水を流すためには、一定の勾配を確保する必要があるためです。
例えば、現在のキッチンがPS(パイプスペース)のすぐ近くにあるとします。
このキッチンをPSから大きく離れたリビング側へ移動しようとすると、排水管を長く伸ばす必要があります。
ところが、床下のスペースが十分に確保できなければ、必要な排水勾配を取れない可能性があります。
「床を少し上げればいいじゃない」と思うかもしれません。
でも、それをするとキッチンだけでなく、リビングや廊下との段差が発生したり、天井高が低く感じられたりすることがあります(せっかくリノベーションしたのに、今度は段差が気になる……では困ります)。
そのため、キッチンの移動を考える場合は、「キッチンを置きたい場所」だけではなく「配管をそこまで持っていけるのか」を確認することが重要です。
【関連記事】中古マンション見学の注意点|リフォーム前に確認したいPS(パイプスペース)の位置
PS(パイプスペース)がキッチン移動の大きなポイント
マンションの間取り図を見ていると、「PS」「MB」などの文字が書かれていることがあります。
PSとはパイプスペースのことで、給水管や排水管などの配管が通っているスペースです。
マンションでは、上下階の住戸をつなぐように配管が配置されていることがあります。
そのため、専有部分のリノベーションだからといって、建物全体に関係する配管まで自由に変更できるわけではありません。
ここが戸建て住宅のリノベーションと少し違うところです。
戸建てでも構造や配管の制約はありますが、マンションでは上下階の住戸との関係があるため、さらに慎重な確認が必要になります。
中古マンションを購入してから「キッチンをここへ移動しよう」と考えていたのに、リノベーション会社へ相談したら「その位置は難しいです」と言われることがあります。
この失敗は、マンションを購入する前にPSの位置を確認しておけば防げる可能性があります。
特に中古マンションを購入してフルリノベーションする場合は、内覧時に間取りだけを見るのではなく、PSの位置まで確認することをおすすめします。
PSからキッチンまでの距離に注意
キッチンを移動するときに確認したいのが、PSから新しいキッチンまでの距離です。
PSから近い場所なら配管工事が比較的行いやすい場合があります。
一方、PSから離れた場所へキッチンを移動すると、排水管のルートや勾配を確保できるかが問題になります。
もちろん、床下の構造や既存配管の状態によって結果は変わります。
そのため、間取り図だけを見て「この場所なら大丈夫」と判断するのは危険です。
実際に現地を確認し、床下の高さ、梁、既存配管などを確認したうえで、リノベーション会社に判断してもらう必要があります。
キッチンの「形」によってもリノベーション方法が変わる
キッチンには、いくつかの代表的な形があります。
| キッチンの形 | 特徴 |
|---|---|
| I型 | コンロ・シンクなどを一直線に配置する一般的なタイプ |
| L型 | キッチンをL字型に配置して作業スペースを確保しやすい |
| U型 | 3方向をキッチン設備で囲む形で収納・作業スペースが多い |
| Ⅱ型 | 2列に分けて配置するタイプ |
| アイランド型 | キッチンの四方が壁に接していないタイプ |
| ペニンシュラ型 | 一方が壁に接している対面式のタイプ |
例えば、現在が壁付けのI型キッチンだからといって、同じ場所にしか設置できないわけではありません。
PSや配管の条件が合えば、I型からペニンシュラ型へ変更することも考えられます。
さらに、広いLDKを作ってアイランド型キッチンを設置したいという希望もあるでしょう。
ただし、「アイランド型にしたい」という希望と「アイランド型を設置できる」ということは別問題です。
アイランド型はキッチン本体の周囲に通路を確保する必要があるため、部屋の広さも重要になります。
また、キッチン本体だけでなく、給排水や換気設備の位置も確認しなければなりません。
キッチンの位置を変えるときに換気扇も確認
キッチンを移動するときは、給排水管だけ確認すればよいわけではありません。
忘れてはいけないのが、レンジフードなどの換気設備です。
キッチンを別の場所へ移動すれば、当然ながら換気扇の位置も変更することになります。
ところが、マンションでは換気設備やダクトの経路にも制約があります。
例えば、キッチンをリビングの中央付近へ移動して、レンジフードを設置したいとします。
そこから既存の排気口までダクトを伸ばせるのか、梁などが邪魔をしないか、必要なスペースを確保できるのかを確認しなければなりません。
「排水管は大丈夫だったけど、換気ダクトが無理だった」というケースも考えられます。
そのため、キッチン移動では、給水・給湯・排水・換気の4つをセットで確認することが大切です。
キッチンの位置変更にかかる費用は?
キッチンを移動するリノベーションでは、キッチン本体の価格だけを考えてはいけません。
既存キッチンの撤去、新しいキッチンの設置、給排水管の移設、電気工事、換気工事、床や壁の補修など、複数の工事が発生する可能性があります。
例えば、単純にキッチン本体を交換するだけなら工事内容は比較的シンプルです。
一方、壁付けキッチンをLDKの別の場所へ移動するとなると、配管や換気設備まで変更する必要があるため、工事費用が大きくなりやすくなります。
さらに、キッチンのグレードによっても費用は大きく変わります。
「キッチンを移動する費用」と「キッチン本体の価格」は分けて考えたほうがよいでしょう。
そして、見積もりを取るときには、単純に一社だけで決めるのではなく、複数のリノベーション会社に相談することをおすすめします。
同じ間取りでも、会社によって「できる」「難しい」「別の方法ならできる」と判断が分かれることがあります。
これは会社によって施工方法や経験が異なるためです。
マンション購入前にキッチン移動を考えるなら何を見る?
中古マンションを購入してリノベーションする場合、購入契約をしてからキッチンの移動ができないと分かると大変です。
「このマンション、価格も安いし、リノベーションすれば理想の家になる!」と思って購入したのに、希望していたキッチン配置ができなかった……。
これはできれば避けたいところです。
そこで、内覧時には次のようなポイントを確認しておきましょう。
- PSの位置
- 現在のキッチンの位置
- 浴室・洗面所・トイレなど水回りの位置
- 梁や柱の位置
- 床下の高さ
- 換気扇・排気口の位置
- 分電盤や電気配線の位置
- 管理規約・使用細則
特に重要なのが、「希望する間取りにした場合、配管をどう通すのか?」という視点です。
完成後の部屋をイメージすることも大切ですが、リノベーション前の「見えない部分」を確認することも同じくらい重要です。
間取り図を見ていると、つい「壁を取れば広いLDKにできそう」と考えてしまいます。
でも、壁の中、床の下、天井裏には配管やダクトがあります(ここがリノベーションの難しいところです)。
リノベーション会社には購入前に相談する
中古マンションを購入してからリノベーションするのであれば、できれば購入前にリノベーション会社へ相談することをおすすめします。
物件を購入した後に「このキッチンを移動したい」と相談するのではなく、購入候補のマンションについて「この場所にキッチンを設置したい」と具体的に相談します。
その際には、物件の間取り図や販売資料などを見せるとよいでしょう。
ただし、資料だけでは判断できない場合もあります。
最終的には現地調査が必要になることもあるため、「資料上は可能そう」という段階で購入を決めないほうが安心です。
また、マンションによってはリフォーム・リノベーション工事について、管理組合への申請や承認が必要になる場合があります。
管理規約や使用細則なども確認しておきましょう。
【関連記事】リノベーションマンション2000万円以下は買える?探し方・費用・失敗例を解説
リノベーションでキッチンの位置を変えるときの失敗例
キッチン移動でありがちな失敗は、「完成した部屋のイメージだけを先に考えてしまう」ことです。
例えば、「リビングを広くしたいから、キッチンを窓側へ移動したい」と考えたとします。
しかし、実際に調べてみるとPSから遠すぎて排水管の勾配が取れない。
あるいは、換気ダクトを通すスペースがない。
そこで床を上げることになり、今度は廊下との間に段差ができてしまう……。
最初に想像していた「おしゃれなリノベーション」とは、少し違うものになってしまいます。
また、キッチンの形を変更したことで、冷蔵庫や食器棚を置くスペースがなくなるケースにも注意が必要です。
アイランド型キッチンは見た目が非常におしゃれですが、キッチンだけでなく周囲の通路幅も必要になります。
「おしゃれだから」という理由だけでキッチンの形を決めると、完成後に使いにくいと感じる可能性があります。
料理をする人の動線、冷蔵庫までの距離、食器棚の位置、ゴミ箱を置く場所まで考えておくことが大切です。
まとめ|キッチン移動は「PS・配管・換気」を確認しよう
マンションのリノベーションでは、キッチンの位置を変更することが可能な場合があります。
しかし、戸建て住宅のように自由に移動できるとは限りません。
特に確認したいのがPS(パイプスペース)です。
キッチンを移動すると、給水・給湯・排水などの配管も移動させる必要があります。
そして、排水管には勾配が必要になるため、PSから離れた場所へキッチンを移動すると工事上の制約が発生する可能性があります。
さらに、レンジフードの換気ダクト、梁や床下のスペース、電気配線なども確認する必要があります。
キッチンにはI型・L型・U型・Ⅱ型・アイランド型・ペニンシュラ型などさまざまな形がありますが、「好きな形」と「設置できる形」は必ずしも同じではありません。
特に中古マンションを購入してリノベーションする場合は、購入前に「このマンションなら希望するキッチン配置ができるのか?」を確認しておくことが重要です。
間取り図だけでは分からないことも多いため、リノベーション会社などに相談し、可能であれば現地調査まで行ってから判断しましょう。
新築マンションは高くて手が出せない。ならば、希望エリアで中古マンションを見つけて、好きな間取りにリノベーションするという選択肢もあります。
ただし、リノベーションは「何でも自由にできる魔法」ではありません。
マンションにはPSや配管、構造、換気設備などの制約があることを理解したうえで物件を選ぶことが、後悔しないリノベーションへの近道です。
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