防火管理者の乙種と甲種の違いとは?マンション管理士試験の重要ポイントを解説

「防火管理者には乙種と甲種があるけれど、何が違うの?」「マンションでは、どちらの防火管理者を選任すればよいの?」「マンション管理士試験では、どこを覚えておけばいいの?」
マンション管理士試験や管理業務主任者試験の勉強をしていると、防火管理者に関する知識を覚える必要があります。
試験勉強をしていると分かりますが、防火管理者には、乙種と甲種があります。名前が似ているため、違いが分かりにくいと感じる人もいるのではないでしょうか。
(甲種と乙種。漢字が違うだけなので、何となく覚えてしまいそうになりますよね。でも、試験ではそれだけでは危険です。)
そこで今回は、マンション管理士試験・管理業務主任者試験の受験生向けに、防火管理者の乙種と甲種の違い、選任できる建物、講習の違いなどを分かりやすく整理します。
乙種と甲種の違いを知っておくと、試験問題を解くときだけでなく、マンションの防火管理を理解するうえでも役立ちます。
~ この記事で分かること ~
- 防火管理者の甲種と乙種の違い
- 甲種・乙種の防火管理者を選任できる建物
- 甲種防火管理者と乙種防火管理者の講習の違い
- マンション管理士試験で押さえたいポイント
- マンションで防火管理者を選任するときの注意点
■ 目次 ■
防火管理者とは?甲種と乙種の違いを理解しよう

防火管理者とは、建物などにおいて、火災の予防や火災発生時の被害軽減に必要な防火管理業務を行う人です。
例えば、消防計画の作成、消火・通報・避難訓練の実施、消防用設備などの維持管理、火気の使用や取扱いに関する監督などが、防火管理に関係する業務として挙げられます。
マンションでは、居住者の安全を守るためにも、防火管理は重要です。火災が発生した場合、初期消火や避難誘導が適切に行われるかどうかによって、被害の大きさが変わる可能性があります。
防火管理者には、甲種と乙種の区分があります。どちらを選任できるかは、建物の用途や規模などによって異なります。
甲種と乙種の大きな違いは、防火管理者として選任できる建物の範囲です。
甲種防火管理者は、甲種防火管理者の選任が必要な建物と、乙種防火管理者でもよい建物の両方で選任できます。一方、乙種防火管理者は、乙種防火管理者で対応できる建物に限られます。
つまり、甲種のほうが選任できる範囲が広いということです。
(乙種のほうが上位だと思ってしまう人もいるかもしれませんが、甲種のほうが対応できる範囲が広いと覚えておきましょう。)
甲種防火管理者と乙種防火管理者の違い
甲種と乙種の違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 甲種防火管理者 | 乙種防火管理者 |
|---|---|---|
| 選任できる建物 | 甲種が必要な建物と乙種で対応できる建物 | 乙種で対応できる建物 |
| 対応できる範囲 | 広い | 限定される |
| 講習 | 甲種防火管理講習など | 乙種防火管理講習など |
| 試験対策 | 選任要件と建物の用途・規模を確認 | 甲種との選任範囲の違いを確認 |
ここで注意したいのは、建物の用途だけで甲種か乙種かが決まるわけではないことです。
防火管理者の選任要件は、消防法令に基づき、建物の用途や収容人員などを踏まえて判断します。
例えば、同じマンションであっても、収容人員などの条件によって必要な防火管理者の資格区分が変わることがあります。
そのため、「マンションだから甲種」「小さな建物だから乙種」と単純に決めつけないことが大切です。
試験では、建物の用途と収容人員などの条件を組み合わせて判断することを意識しましょう。
甲種防火管理者とは?選任できる範囲が広い
甲種防火管理者は、甲種防火管理者の選任が必要な防火対象物で防火管理者になることができ、乙種防火管理者でも対応できる防火対象物でも選任できます。
そのため、甲種防火管理者の資格を取得しておけば、乙種防火管理者に限られる資格よりも幅広い建物に対応できます。
ただし、甲種防火管理者の資格を持っていれば、建物の条件に関係なく、すべての施設で自動的に選任されるわけではありません。実際に選任する際には、消防法令上の要件を確認する必要があります。
甲種防火管理者の講習
甲種防火管理者になるための方法の一つが、甲種防火管理講習の課程を修了することです。
講習では、防火管理の意義や制度、火災予防、消防計画、訓練など、防火管理業務に必要な知識を学びます。
講習の実施方法や日程、申込方法などは、実施機関や地域によって異なる場合があります。受講を考えている人は、管轄の消防機関などの案内を確認しましょう。
なお、甲種防火管理者の資格取得には、講習の修了以外にも一定の資格や学識経験などによる方法が認められる場合があります。
試験対策では、細かな講習日程を暗記するよりも、甲種は乙種よりも広い範囲の防火対象物で選任できるという基本を押さえることが重要です。
乙種防火管理者とは?選任できる建物に注意
乙種防火管理者は、消防法令上、乙種防火管理者で対応できる防火対象物において選任できる防火管理者です。
甲種と比較すると、選任できる建物の範囲が限定されています。
そのため、乙種防火管理者の講習を修了していても、甲種防火管理者の選任が必要な建物では、原則として乙種の資格だけでは対応できません。
ここは、甲種と乙種の違いを理解するうえで重要なポイントです。
乙種防火管理者の講習
乙種防火管理者になるための方法の一つが、乙種防火管理講習の課程を修了することです。
乙種防火管理講習では、防火管理に必要な基本的な知識を学びます。甲種防火管理講習とは講習の内容や課程が異なるため、受講する前に自分が選任される予定の建物に必要な資格区分を確認することが大切です。
(せっかく講習を受けても、対象となる建物に必要な資格区分と違っていたら困りますよね。)
なお、甲種防火管理者の資格を持つ人は、乙種防火管理者で対応できる建物でも選任できます。どちらの講習を受けるべきか迷った場合は、建物の用途や規模、将来的な選任予定なども踏まえて検討するとよいでしょう。
マンションの防火管理者は甲種と乙種のどちら?
マンション管理士試験や管理業務主任者試験を勉強している人にとって、気になるのがマンションで必要となる防火管理者の資格区分ではないでしょうか。
マンションのような共同住宅では、建物の用途や収容人員などによって、防火管理者の選任要件が決まります。
そのため、マンションであれば必ず甲種防火管理者が必要、あるいは必ず乙種防火管理者でよい、というわけではありません。
実際に防火管理者を選任するときは、建物の条件を確認したうえで、甲種・乙種のどちらが必要なのかを判断する必要があります。
また、マンションの管理組合が防火管理に関係する場合でも、管理組合の役員であれば自動的に防火管理者になれるわけではありません。必要な資格要件などを満たしているか確認しましょう。
記事には、次のH3ブロックを追加すると分かりやすくなります。マンションは原則として「共同住宅」に該当し、収容人員50人以上で防火管理者の選任が必要です。甲種・乙種の区分は、収容人員に加えて延べ面積で判断します。
マンションは収容人員50人以上で防火管理者が必要!甲種・乙種の違いも確認
マンションの防火管理者について覚えておきたいのが、「収容人員」と「延べ面積」の2つです。
マンションは、消防法上、原則として「共同住宅」に分類されます。共同住宅の場合、収容人員が50人以上になると、防火管理者を選任する必要があります。
ただし、防火管理者が必要かどうかを判断する「収容人員」と、甲種・乙種のどちらの資格が必要かを判断する「延べ面積」は、別の基準です。マンション管理士試験でも混同しないようにしましょう。
マンションの防火管理者は延べ面積500㎡が境目
共同住宅の場合、収容人員が50人以上であることを前提に、建物全体の延べ面積によって必要な資格が変わります。
| 収容人員 | 延べ面積 | 必要な資格 |
|---|---|---|
| 50人未満 | 面積を問わない | 原則として選任義務なし |
| 50人以上 | 500㎡未満 | 甲種または乙種防火管理者 |
| 50人以上 | 500㎡以上 | 甲種防火管理者 |
つまり、共同住宅では、収容人員50人以上かつ延べ面積500㎡以上の場合、甲種防火管理者が必要です。延べ面積が500㎡未満であれば、甲種または乙種の防火管理者を選任できます。
なお、これは一般的な共同住宅についての基本的な基準です。店舗や飲食店など別の用途が入っている複合用途の建物や、ほかの法令上の条件が関係する建物では、判定が異なる場合があります。実際の選任では、所轄の消防署に確認しましょう。
試験では「50人」と「500㎡」をセットで覚えよう
マンション管理士試験の対策としては、次の2点をセットで覚えると整理しやすくなります。
- 防火管理者の選任が必要かどうか:収容人員50人以上
- 甲種か乙種かの判断:延べ面積500㎡以上か未満か
「収容人員50人以上なら、必ず甲種」と覚えてしまうのは間違いです。延べ面積が500㎡未満の共同住宅では、乙種防火管理者でも選任できる場合があります。
また、収容人員は単純に住戸数だけで判断するものではありません。消防法令に基づく算定方法で確認する必要があるため、試験では「収容人員」と「延べ面積」がそれぞれ何を判断する数字なのかを意識しましょう。
マンション管理士試験で覚えたい防火管理者のポイント
ここまで、甲種防火管理者と乙種防火管理者の違いについて説明してきました。
では、マンション管理士試験や管理業務主任者試験では、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
試験勉強では、制度の細かな内容を覚えることも大切ですが、まずは基本的な違いを整理することをおすすめします。
甲種と乙種の選任範囲を区別する
最初に覚えておきたいのは、甲種防火管理者と乙種防火管理者では、選任できる防火対象物の範囲が異なるということです。
甲種防火管理者は、甲種が必要な建物と乙種で対応できる建物の両方で選任できます。一方、乙種防火管理者は、乙種で対応できる建物に限られます。
つまり、甲種のほうが選任できる範囲が広いという関係です。
(ここを逆に覚えてしまうと、問題文を読んだときに混乱します。まずは、この基本を確実に押さえましょう。)
建物の用途や収容人員にも注意する
防火管理者の選任要件は、建物の用途や収容人員などによって異なります。
そのため、問題文に建物の名称だけが書かれていても、それだけで甲種か乙種かを判断できるとは限りません。
試験では、建物の用途と収容人員などの条件を確認し、どのような資格区分が必要になるのかを考えることが重要です。
また、防火管理者の選任が必要となる条件と、甲種・乙種のどちらで対応できるかという問題は、分けて理解しておきましょう。
講習の種類だけで判断しない
甲種防火管理講習と乙種防火管理講習があることも、覚えておきたいポイントです。
ただし、試験対策では講習の名称を覚えるだけでなく、取得した資格によって、どの範囲の防火対象物で防火管理者になれるのかを理解することが大切です。
資格区分と選任要件をセットで覚えておけば、選択肢の内容を比較しやすくなります。
防火管理者の甲種・乙種に関するよくある質問
甲種防火管理者と乙種防火管理者では、どちらが上ですか?
選任できる防火対象物の範囲という点では、甲種防火管理者のほうが広い範囲に対応できます。
甲種防火管理者は甲種が必要な建物と乙種で対応できる建物の両方で選任できますが、乙種防火管理者は乙種で対応できる建物に限られます。
試験対策では、甲種は選任範囲が広く、乙種は選任範囲が限定されると覚えておきましょう。
乙種防火管理者の資格で、マンションの防火管理者になれますか?
マンションの用途や収容人員などの条件によります。
乙種防火管理者で対応できる防火対象物であれば選任できますが、甲種防火管理者の選任が必要な場合は、乙種の資格だけでは原則として対応できません。
実際に選任する際は、建物の条件を確認し、管轄の消防機関などに相談するとよいでしょう。
マンション管理士試験では、甲種と乙種の違いを覚える必要がありますか?
防火管理者に関する問題に備えるためにも、甲種と乙種の違いは整理しておくことをおすすめします。
特に、資格区分による選任範囲の違いと、建物の用途や収容人員などによって選任要件が変わることを理解しておきましょう。
ただし、実際にどのような内容が出題されるかは年度によって異なります。過去問や最新の法令に対応した教材を活用しながら、関連する知識を確認することが大切です。
マンションの防火管理者は、区分所有者でなければダメですか?
いいえ、防火管理者は、必ずしもマンションの区分所有者である必要はありません。
消防法上、防火管理者に求められるのは、建物の防火管理を適切に行える立場にあり、必要な資格や要件を満たしていることです。そのため、区分所有者だけでなく、管理組合の役員や居住者、管理会社の従業員などが選任される場合もあります。
ただし、誰でも自由に選任できるわけではありません。防火管理者には、建物の防火管理業務を適切に行える立場や権限が必要です。管理会社の従業員など、マンション外部の人を選任する場合は、実際に防火管理業務を遂行できるかどうかも含めて確認しましょう。
マンション管理士試験では、「区分所有者でなければ防火管理者になれない」というわけではないことを押さえておきましょう。
まとめ|防火管理者は甲種と乙種の違いを押さえよう
防火管理者には甲種と乙種があり、両者の大きな違いは、選任できる防火対象物の範囲です。
甲種防火管理者は、甲種が必要な建物と乙種で対応できる建物の両方で選任できます。一方、乙種防火管理者は、乙種で対応できる建物に限られます。
また、マンションの防火管理者についても、建物の用途や収容人員などの条件によって必要な資格区分が異なります。
今回の内容を整理すると、次のとおりです。
- 甲種防火管理者は選任できる範囲が広い
- 乙種防火管理者は選任できる範囲が限定される
- 建物の用途や収容人員などによって選任要件が異なる
- 甲種防火管理講習と乙種防火管理講習は区別して覚える
- マンションでは建物の条件に応じて必要な資格区分を確認する
マンション管理士試験や管理業務主任者試験では、似た名称の制度や資格が数多く登場します。
一つひとつの違いを整理しながら勉強することで、知識が混乱しにくくなります。
(私も資格試験の勉強では、似た用語の違いを整理するのに苦労しました。分かったつもりでも、四肢択一式の問題になると迷うことがあるんですよね。)
防火管理者についても、甲種と乙種の違いを単に暗記するだけでなく、選任範囲や建物の条件と関連付けて理解しておきましょう。
こうした基本知識を一つずつ積み重ねることが、マンション管理士試験・管理業務主任者試験の合格に近づくための大切な一歩です。
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