外部所有者協力金の徴収を管理規約に定めてよい?
外部所有者つまり購入したマンションに住まない部屋の区分所有者(非居住者)に対して、「外部所有者協力金」という名の金銭負担を求めることは、合法なのでしょうか。居住所有者と非居住所有者との不公平を是正する方法として、「外部所有者協力金」の仕組みを構築しておきたいものです。
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外部所有者協力金の徴収を管理規約に定めてよい?
外部所有者(非居住者)の方に対しては、輪番制で回ってくる理事の選出が免除されることから、居住所有者からの不公平感を生みやすいものです。
総会資料の発送も、居住所有者であればマンション内のポストに投函すればよいのだが、外部所有者(非居住者)の方は、総会資料を封入して、返信用封筒を同封して、郵便切手を貼って、宛先シールを貼って発送するという手間と費用が必要となります。
総会資料は発送を行っているのは、現実には管理会社の担当者であるかもしれませんが、管理組合の貴重な財産が使われているのは事実です。
2019年10月1日(火)から、郵便料金の値上げが決定して、定形郵便物25グラム以内は82円から84円、定形郵便物50グラム以内は92円から94円になります。
僅か数円の値上げですが、たくさんの郵便物を投函する企業などにとっては、地味に痛いのではないでしょうか。
消費税増税の影響を早くも身近なところで感じられる郵便料金の値上げですが、居住所有者であればゼロ円ですが、外部所有者(非居住者)の方は、郵送代が必要となってしまいます。
全体から見る外部所有者の割合は、マンションによって様々でしょうが、今後、外部所有者の割合が増えるかもしれないと考えると、早めに手を打っておいた方がよいのではないかと考えます。
外部所有者協力金の徴収を管理規約に定めてよいかということは、すでに裁判で争われています。
管理規約は、マンションの区分所有者全員に適用されるべきルールであるため、外部所有者であろうと居住所有者であろうと適用されます。
実際の裁判事例では
そこで、外部所有者からのみ協力金を徴収するとなると、「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」に該当することになります。
これらの区分所有者の承諾が必要とする区分所有法31条1項後段に抵触するのではないかという問題点があって争われたケースがあります。
最高裁平成22年1月26日判決は、中津リバーサイド管理組合の事件で、区分所有法31条1項後段に当たらないとして、管理規約において住民活動協力金として、月額2500円を定めたことを有効と判断した過去の経緯があるのです。
管理規約変更の例は
国土交通省(国交省)のマンション標準管理規約をベースに作成されている管理規約であれば、第25条(管理費等)の納入すべき費用に「三 協力金(外部所有者のみ)」を加えるのが妥当ではないかと考えます。
区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 管理費
二 修繕積立金
2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。
(マンション標準管理規約 第25条管理費等)
注意点として、協力金の金額そのものを管理規約に入れてはいけません。今後、協力金の金額が上がるかもしれません。金額を記載すると、管理規約も変更しなければならなくなり、総会での決議事項となってしまいます。
協力金をあげる場合ではなく、下げる場合も同様ですから、気をつけて頂きたいです。
外部所有者協力金の金額は
外部所有者協力金の金額は、各々のマンションの懐事情とマンションの規模によるところが多いのであるが、せいぜい月額1000円から3000円というところが常識的な範疇なのではないかと思います。
極端に高く協力金の金額を設定することは、逆に不公平になってしまいます。実際に外部所有者に必要となる実費と事務関係に必要な時間を加味した金額が妥当でしょうね。
裁判では、月額2500円という金額が認められました。マンションの実情に合わせて設定して頂きたいです。
おわりに
外部所有者協力金の徴収を管理規約に定めてよいということは、過去の判例からも明らかです。ただし、協力金の金額については、常識の範囲内で設定することが必要だと思います。
外部所有者のために、実際に必要な経費を大きくかけ離れた金額を設定することは、逆に公平ではなくなりますからね。
協力金の徴収は、賃貸化を防ぐ意味もあります。わざと高い金額に協力金を設定する場合もあります。購入したオーナーが実際に住んでいるほうが、マンション管理に積極的になりますからね。
外部所有者協力金の徴収を管理規約に定めてよい?
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