手すりの高さは法律(建築基準法)で定められているのか?

「マンションのベランダにある手すりって、何cmくらいの高さが必要なの?」
「手すりが低いマンションは、建築基準法違反にならないの?」
マンションに住んでいると、ベランダやバルコニーの手すりを見て、ふと疑問に思うことがあります。
特に高層階から下を見たとき、手すりが腰くらいの高さしかないと、「これで本当に安全なの?」と感じる人もいるでしょう。
実は、マンションのバルコニーなどに設ける手すりについては、建築基準法施行令で「安全上必要な高さ」が定められています。
しかも、この手すりの高さは、過去のマンション管理士試験にも出題されています。(マンション管理士を目指して過去問を勉強していた人なら、「あった、こんな問題!」と思うかもしれません。)
この記事では、マンションの手すりの高さと建築基準法との関係について、マンション管理士試験の出題例も交えながら解説します。
~ この記事で分かること ~
- マンションの手すりに高さの基準があるのか
- バルコニーの手すりは何m以上必要なのか
- 建築基準法施行令の規定
- マンション管理士試験の出題例
- 手すりを見るときの注意点
■ 目次 ■
マンションの手すりの高さは法律で決められている?

結論からいうと、マンションのバルコニーなどに設けられる手すりについては、建築基準法施行令に高さの基準があります。
具体的には、屋上広場や2階以上の階にあるバルコニーなどの周囲には、安全上必要な高さの手すり壁、さく、金網などを設けることが定められています。
その高さは、1.1m以上です。
「1.1m」というと、110cmです。一般的な成人であれば腰よりかなり高い位置になります。
ベランダから身を乗り出したり、子どもがよじ登ったりすることを考えると、手すりがある程度の高さを確保していることには意味があります。
ただし、「マンションの手すりは全部1.1m」と単純に考えるのは少し違います。
法律が対象としているのは、屋上広場や2階以上のバルコニーなど、一定の場所です。そのため、マンション内にあるすべての「手すり」という設備について、一律に1.1mという基準が適用されるわけではありません。
ここは、ちょっとややこしいところです。(「手すり=全部1.1m」と覚えたほうが簡単なんですけどね。)
建築基準法施行令では1.1m以上とされている
マンションのバルコニーについて確認したいのが、建築基準法施行令の規定です。
2階以上の階にあるバルコニーなどの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく、金網などを設けることとされています。
つまり、マンションのバルコニーから人が転落することを防ぐため、一定以上の高さを確保することが求められているわけです。
例えば、バルコニーの床から手すりの上端までを測って、約110cmというイメージです。
ただし、実際のマンションを見る場合は、単純にメジャーを当てて「109cmだから違反だ!」と判断するのはやめておきましょう。
建築物の規定は、建物の用途や構造、設置されている場所、建築時期などによって確認すべき事項が変わるからです。
法律の数字を知ることと、実際の建物が違反していると判断することは別問題です。
「ちょっと低く見える」という感覚だけで判断しないことが大切です。
逆にいえば、マンションを購入するときにバルコニーの手すりを確認するのであれば、「高さ」だけではなく、ぐらつきや腐食、破損なども一緒に見ておくとよいでしょう。
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マンション管理士試験にも手すりの高さが出題されている
実は、この「1.1m」という数字は、マンション管理士試験にも登場しています。
平成16年度のマンション管理士試験では、共同住宅に関する建築基準法の問題として、次のような選択肢が出題されました。
「共同住宅の2階以上にあるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。」
マンション管理士試験では、管理規約や区分所有法だけではなく、こうした建築関係の知識も問われます。
私自身もマンション管理士の勉強をしていたので、こうした問題を見ると、「こんな細かい数字まで覚えるのか!」と思ってしまいます。(4択問題って、知っているつもりでも最後の1つで迷わせてくるんですよね。)
ちなみに、この問題には手すりの高さ以外にも、共同住宅の居室に関する規定などが選択肢として並んでいました。
例えば、居室の天井の高さや換気のための開口部、地階に設ける居室に関する規定などです。
つまり、マンション管理士試験では、マンションに住んでいる人が普段あまり意識しないような「建物そのものの基準」も出題されるわけです。
「手すり」と「手すり壁」は同じもの?
ここで気になるのが、「手すり1.1m」といっても、実際のマンションにはいろいろなタイプがあるということです。
例えば、コンクリート製の腰壁の上に金属製の手すりが設置されているバルコニーがあります。
この場合、「金属部分だけが110cmある」という意味ではありません。
バルコニーの周囲に設けられた手すり壁、さく、金網などについて、安全上必要な高さを確保するという考え方です。
そのため、マンションを見学するときに、「手すり部分だけを測ったら80cmしかない!」と慌てる必要はありません。
腰壁の高さと、その上部に設置された手すりなど、実際の構造全体を見て確認する必要があります。
また、ガラスを使ったバルコニー手すりなどもあります。
透明なガラスだと、見た目には「手すりが低い?」と感じることがありますが、ガラス部分そのものが安全上必要な高さを確保する構造になっている場合があります。
「見た目が低い」と「実際に基準を満たしていない」は同じではありません。
手すりの高さだけでなく「壊れていないか」も確認
マンションに住んでいる人が手すりを見る場合、法律上の高さだけを気にする必要はありません。
むしろ、日常生活では手すりの劣化や破損のほうが身近な問題になることがあります。
例えば、金属製の手すりにサビが出ていたり、固定部分が腐食していたり、手で押すと「グラッ」と動いたりする場合です。
高さが1.1m以上あったとしても、手すりそのものが劣化して安全性に問題があるなら、別の問題です。
特に築年数が経過したマンションでは、定期的な点検や修繕が重要になります。
バルコニーは屋外にあるため、雨風や紫外線の影響を受け続けます。金属部分だけでなく、固定金具やコンクリートとの接合部なども確認したいところです。
「高さは法律で決まっているから大丈夫」と安心するのではなく、実際に安全な状態が維持されているかを見ることも大切です。
マンションの大規模修繕工事では、外壁や防水だけでなく、バルコニー周辺の劣化状況を確認することがあります。
住民としても、ベランダに出たときに「以前より手すりがサビてきた」「固定部分が気になる」と感じたら、管理会社や管理組合へ相談するとよいでしょう。
マンションの手すりは1.1mなら絶対に安全なの?
ここも誤解しやすいポイントです。
「1.1m以上あれば安全」という意味ではありません。
建築基準法令の数値は、建築物の安全を確保するための基準の一つです。しかし、実際の安全性は、手すりの構造、強度、隙間、周辺の状況など、さまざまな要素によって変わります。
例えば、小さな子どもがいる家庭なら、手すりの高さだけでなく、手すり周辺に踏み台になるような物を置いていないかも重要です。
ベランダに椅子や収納ボックス、プランターなどを置けば、子どもがそれを足場にしてしまう可能性があります。
つまり、「法律の基準を満たしている=何をしても安全」ではありません。
建物側の安全対策と、住民自身の使い方の両方が必要です。
ベランダは火災時の避難経路として重要になる場合もあります。そのため、手すりだけではなく、避難ハッチや隔て板の前などに物を置かないことも大切です。
「ここに植木鉢を置いたら便利」「収納ボックスを置けばベランダが片付く」と思っても、安全面から考えると問題になる場合があります。
まとめ|マンションの手すりには高さの基準がある
マンションのバルコニーなどに設けられる手すりについては、建築基準法施行令に安全上必要な高さの基準があります。
屋上広場や2階以上の階にあるバルコニーなどでは、周囲に1.1m以上の手すり壁、さく又は金網などを設けることとされています。
この「1.1m」という数字は、平成16年度のマンション管理士試験にも出題されています。
ただし、手すりの高さだけを見て、「これは法律違反だ」「これは安全だ」と判断することはできません。
実際の建物では、構造や設置場所、建築時期なども含めて確認する必要があります。
そして、マンションに住んでいる人にとっては、法律上の高さだけではなく、手すりの腐食やぐらつき、破損などがないかを確認することも大切です。
「毎日見ているから大丈夫」と思っていても、手すりの劣化は少しずつ進みます。
ベランダに出たときは、手すりを軽く目視して、サビやひび割れ、固定部分の異常などがないか確認してみてください。
マンションの安全は、建築基準法の数字だけで決まるものではありません。
法律上の基準を知ったうえで、実際のマンションの状態を見ることが、安心して暮らすためには重要なのです。
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