武蔵小杉タワマン浸水原因の報告書がすばらしい
台風19号の影響で、武蔵小杉のタワマン「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」が、大きな浸水被害を受けて大騒ぎとなりました。多くの情報が流されていることは、人々の関心の高さを伺い知るところです。きちんとした原因分析を住民で行い、再発防止策まで報告書としてまとめ、マンション住民のみならず一般にも公開するすばらしさに感動しました。
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武蔵小杉タワマンの浸水被害
「川沿いに住んではいけないことが証明された台風19号」でも綴りましたが、台風19号によるタワーマンション「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」で、大きな浸水被害が起こったことは記憶に新しいです。
タワマンは、「自然災害にも強い!」という今までの認識でしたから、浸水の被害があって初めて「ひょっとして危ないのでは?」という認識に変わりました。
それほど、武蔵小杉のタワマン「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」の被害は、多くの報道がなされ関心を持った浸水被害であったと認識させられました。
チーム名「SFT1013」の「SFT」は、「ステーションフォレストタワー」の略称、「1013」は、被災翌日の10月13日に「災害対策本部」を設立したことを忘れないようにという名称の意味なのでしょうか。
被災の翌日には、すでに「災害対策本部」が設立されていたというスピード感も注目すべきすばらしいことです。平時の訓練が行き届いていたことがチーム名にもよく表れていると思います。
「SFT1013」、なんだか恰好よいチーム名をつけたものだと感心しました。
浸水原因の報告書がすばらしい
2020年3月2日(月)に、「SFT1013対応タスクフォース広報チームの原因調査・再発防止チーム」が「台風19号被害原因調査及び再発防止策検討状況の報告」を公表しました。
「SFT1013対応タスクフォース広報チーム」とは、パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの理事会・防災防犯委員会・資産価値向上委員会・その他居住者有志と連携した調査チームの名称です。
理事会のメンバーだけで対応することが不可能であるため、専門知識を持った有識者を募って、災害調査対応を行うチームを発足させて活動していたことが分かりました。
タワーマンションだけに、様々な知識や経験を持っておられる方がいることは非常に心強いことだと思います。
台風の被害は残念なことでしたが、住民が一致団結して浸水の原因を明らかにし、対策を行うべき活動を進めてきたことはすばらしいことだと感じます。
もし、同じような浸水被害がお住まいのマンションで起こったら、「SFT1013対応タスクフォース」のようなすばらしい対応ができるマンションがいくつあるのかは疑問に思います。
一般に公開された報告書は、活動の一部を要約したものです。内部的にはさらに細かい報告書があるものと思われます。
そういう意味では、「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」にお住まいの方々も安心なのだと思います。
他のマンションも、報告書の内容を読んで、自分の住むマンションにも活かせるとよいですね。
訓練の賜物 土嚢積み
報告書によると、「1階の出入口や駐車場入口は、住民の土嚢積み等により流入を防ぐことができた。」と書かれています。
台風の当日、住民の手によって土嚢を積んだことで、雨水の流入を防ぐことができたということです。初期段階での適切な対応ができていたことは評価に値すると思います。
普段から土嚢を準備して、どこに格納されていて、誰が運んで誰が積むのかという平常時からの訓練があったからこそ、スピーデイーな対応ができたのだと判断することができます。
土嚢による雨水の流入を防ぐことができなければ、もっと大きな被害が発生したのではないかと思います。
浸水被害の原因は?
報告書によると、浸水被害の原因は何だったのでしょうか。
停電が起こったことで、排水ポンプの停止による電気・機械設備冠水だったと原因の結論を出しています。
貯水槽への雨水流入と排水
●SFT敷地を覆った水は雨水桝を経由して貯水槽に流入した
●排水ポンプは通電時動作を継続したが、地表が冠水しているため(通常の雨による流入と異なり)排水量を上回る雨水が流入し貯水槽があふれる事となった地下3階への浸水
●貯水槽が満杯となった後も雨水の流入が続き、地下3階床面にある貯水槽の蓋から水があふれ地下3階に浸水した地下3階の電気・機械設備冠水
●地下3階の浸水水位が高まり、電気・機械設備が冠水、電気設備停止に伴い停電が発生
●給排水、エレベーター、機械式駐車場などの停止に至った
●排水ポンプも停電により動作を停止した(排水ポンプには逆流防止弁が設置されており下水道側から建物内への逆流は発生していないと考えられる)
浸水原因の対策は?
報告書の「再発防止策検討方針」のトップに書かれているように、「被災前よりも災害に強いマンションにすることを目標とする。」は、まさに「雨降って地固まる。」のような気がします。
短期的な対策と中長期的な目線での対応が存在するのもすばらしいことです。
短期的な対策
建物出入口への止水板の設置・換気口など開口部の浸水防止対策・地下浸水経路への浸水防止設備設置を行います。
雨水の侵入を許さないための措置が短期的には早急な対策となります。毎年のように台風が日本に上陸することは避けられない時代になってきました。
まず、雨水を侵入させない対策は、どのマンションでも必要なことなのではないでしょうか。
中長期的な対策
地下電気設備等の配置変更、冗長化可能な設備の検討を行います。
雨水の影響を受けやすい位置に、電気設備などの重要なインフラ設備を設置しないことや使用不可となった場合に、代替機による設備を動かすことを検討します。
費用的にも技術的にも簡単な対策ではないことと想像しますが、将来のことを考えたら対応しておくとよい内容だと思います。
電気設備の位置変更の見直しは、どのマンションでも必要なのではないでしょうか。
支援体制の準備不可欠
報告書には、「ご支援いただいた方々」や「ご支援いただいた内容」が記載されています。周辺マンションの設備利用や周辺商業施設の設備利用が書かれています。
浸水被害の発生時には、周辺マンションや周辺商業施設の協力があったことが分かります。平常時から、非常時に強力ができるようにあらかじめ話し合っておく必要性を感じました。
お住まいのマンションが非常の場合、どこに支援を受けられるのかまたは何を用意しておけば支援することができるのかを常日頃から準備しておくべきだと思わされた報告書です。
報告書の「SFT1013対応タスクフォース設立の経緯」にも書かれていますが、理事会で募集した対応メンバーに、なんと40名以上からの参加表明があったというのにも驚きです。
タワマンだから、住んでいる人が多いのは分かりますが、みんなで協力して浸水被害の解決を図ろうとする姿があったのですね。
おわりに
武蔵小杉タワマンの浸水原因の報告書がすばらしいと思いました。被害があったことは残念でしたが、住民のすばらしい対応に感動しました。
「マンションは管理を買え!」と言われますが、まさしく「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」は、管理を購入したように思います。
お住まいのマンションでも、平常時の体制や土嚢などの災害を防止するための物資を見直して、準備を行っておく必要があるのではないでしょうか。
残念ながら、心無い中傷の投稿も見受けられます。実際には、きちんとした調査チームを立ち上げて全力で原因究明と対策を行っていたことが調査結果を公開したことで分かりました。
浸水原因の報告書がすばらしい
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