個人情報保護法の改正ポイント2017にマンションも対象
2017年に改正された個人情報保護法には、個人情報を取扱うマンションも個人情報保護法の対象となりました。マンションで取り扱う個人情報は、どんなところに気を付ければよいのでしょうか。マンションならではのポイントがありますので、参考にして頂ければ幸いです。
■ 目次 ■
個人情報保護法とは
個人情報を取り扱う民間事業者の遵守すべき義務を定めた法律で、マンションも個人情報を取扱いますから、個人情報保護法の対象となります。
個人情報保護法の改正前は、5000人以下しか個人情報を保有していなかった場合には、個人情報保護法の対象外でしたが、個人情報保護法の改正で5000人以下であっても、例外なく対象となりました。
個人情報保護法は、5000人以下しか保有していなかったら守らなくてもよい法律(改正前)でしたが、それ以上だったら適用する法律であるという人数で対象にするかどうかという線引きがおかしかったのですけどね。一人であろうと何万人だろうと、個人情報保護法に従う必要があると思います。
それだけ、個人情報に対する社会的ニーズが高まってきたという背景があるのかと思いますが、マンションであっても今回の改正を機に対応することが求められています。
どのように対応するかどうかで、「よい管理のマンション」かどうかが見極められるのではないでしょうか。中古マンションを買う場合のひとつの指標となるのかもしれませんね。
今回の個人情報保護法改正を受けて、PTAや町内会で取り扱う個人情報をどうするのかが問われています。過剰な反応はよくありませんが、個人情報を正しく取り扱ってほしいものです。
マンションで気をつけるポイント
住民に利用目的通知と同意を得る
新築マンションでこれから個人情報を収集する場合を除き、すでにマンションにお住まいの住民から個人情報を収集していることかと思います。
個人情報保護法が改正になったからと言って、改めて個人情報を収集する必要はありませんが、住民の方には、集めた個人情報の利用目的を通知する必要があります。
個人情報保護法では、何の目的で個人情報を収集するのかということを収集時に通知するのが基本(オプトイン:事前に利用者の承諾を得る)だからです。
改正前に集めた個人情報なのですから、収集時に利用目的を本人に伝えることは考えていなかったのでしょうが、改正後は何らかの対応が求められます。
マンションの管理を委託している管理会社も、個人情報を取り扱いますので、何に個人情報を利用するのかを文書にて伝えることを怠らないようにして頂きたいです。
全戸配布で伝える
一番良いのが、個人情報の利用目的を全戸配布によってお知らせする方法です。スマートなお知らせの方法で、「読んだ/読まない」というトラブルも少ないのではないでしょうか。
何よりも、「改正個人情報保護法に対しても、法律に則って管理していますよ」という住民に対する良いアピールの場なのではと思います。
掲示板で伝える
マンションの掲示板に貼って、住民にお知らせする方法です。基本中の基本ですが、重要度が薄れてしまうことと住民全員に伝わるのか疑問が残ります。
何もしないよりはよいですが、「全戸配布」に比べてアピール度は落ちる気がします。
総会で伝える
マンションの通常総会や臨時総会で伝える方法です。個人情報の利用目的を通知するためだけに臨時総会を開催するのは現実的ではありませんが、改正のタイミングと合えば、総会の場で伝えることもよいでしょう。
実際、総会への出席される住民の方は多くはありませんので、総会開催時に伝えるのではなく、事前に配布する総会資料に個人情報の収集目的を記載するのがよいと思います。
エントランス案内表示板
マンションならではの気を付けるべき点として、エントランス部分に住戸表示板は掲げていないでしょうか。住戸番号とともに個人名称を表示しているマンションがあります。
宅配業者や郵便局の職員の訪問者にとっては、ありがたい表示なのですが、個人情報保護の観点からはグレー表示となります。
マンション住民全員の同意を得て個人名称を表示しているのであればよいですが、同意を得ていない場合は、個人情報の利用目的に反することになります。
防犯の意味や中古マンションの売買で所有者が変更となった場合のメンテナンスのわずらわしいこともあって、比較的新しいマンションでは、個人名称を表示しないことの方が多くなってきました。
一度、マンションのエントランス部分に設置されている住戸表示板をご確認頂くことをおすすめします。住戸表示板をエントランスではなく、奥まった場所に移す対策を行ったマンションがあると聞いたこともあります。
集合郵便受け(ポスト)表示
集合郵便受け(ポスト)には、個人名称の表示はあるでしょうか。集合郵便受け(ポスト)は、個人が専用で使いますが、管理組合の共用施設となります。
そのため管理組合として、集合郵便受け(ポスト)の表示名をどのようにするのかを決めて周知しておくとよいです。
特に、オートロック設備のあるマンションの投入口は、オートロック外にありますので、マンションの住民以外の誰でもが見られる状況にあります。
投入口には、どのように表示するのか決めがないマンションが多く、各自で独自の表示を行っていて統一感が全くない場合があります。
苗字のみ表記する方、フルネームで表記する方、何も表記しない方とバラバラな状態は、みっともなく感じます。
管理組合で表記方法を定めて周知することをおすすめします。
おわりに
2017年個人情報保護法が改正され、5000人以下の住民が住むマンションも適用対象となりました。時代の流れであるのかと思いますが、不特定多数の方がお住まいになるマンションですから、管理組合を中心にして、どうあるべきかを見直すよいきっかけだと思います。
「マンションは、管理を買え!」、個人情報保護法の改正にどのように取り組むのかが求められているのではないでしょうか。
個人情報が記載された書類などは、不要になったら、きちんとシュレッダーで裁断して捨てましょう。
マンションの理事長であれば、滞納者の個人情報を知り得る立場にあります。しかし、滞納者の個人情報を不用意に理事会や通常総会で明らかにすることは、個人情報保護法違反になるのではないでしょうか。マンションの理事長とは言え、滞納者の情報なんて知りたくないのですけどね。
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