法定共用部分の具体例は!規約共用部分との違いをマンション管理士試験向けに解説

「マンションの法定共用部分って、具体的にはどこ?」「バルコニーや玄関ドア、窓ガラスは専有部分じゃないの?」「規約共用部分との違いが、どうしても覚えられない……」
マンション管理士試験や管理業務主任者試験を勉強していると、「法定共用部分」と「規約共用部分」の違いで混乱することがあります。
しかも、専用庭やバルコニー、玄関ドア、窓ガラス、窓枠などは、普段の生活では「自分の部屋の一部」という感覚がありますよね。
(毎日使っているのだから、自分のものだと思ってしまう……。これが試験では危険なんです。)
そこで今回は、マンション管理士・管理業務主任者試験の受験生向けに、法定共用部分の具体例と規約共用部分との違いを、できるだけ簡単に整理します。
~ この記事で分かること ~
- 法定共用部分とは何か
- 法定共用部分の具体例
- 規約共用部分との違い
- バルコニー・玄関ドア・窓の扱い
- 試験で覚えるポイント
■ 目次 ■
法定共用部分とは?具体例で覚えよう

法定共用部分とは、区分所有法上、当然に共用部分となる部分のことです。
代表的なものとして、マンションの廊下、階段、エレベーターホール、エレベーターなど、建物の構造や利用上、区分所有者が共同で使用する部分が挙げられます。
また、建物の躯体部分なども重要です。例えば、建物を支える柱や梁、床スラブなどは、住戸の中にあったとしても、単純に「その部屋の所有者の専有部分」と考えることはできません。
試験では「専有部分の中にあるから専有部分」という考え方をすると間違えやすいので注意してください。
(ここがイヤらしいところです。見た目だけでは判断できないんですよね。)
法定共用部分の具体例
法定共用部分をイメージしやすくするため、代表的なものを整理してみましょう。
| 部分 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 廊下 | 共用部分 |
| 階段 | 共用部分 |
| エレベーター | 共用部分 |
| 建物の躯体 | 共用部分 |
| 柱・梁 | 共用部分 |
| 床スラブ | 共用部分 |
| 屋上 | 原則として共用部分 |
もちろん、実際のマンションでは管理規約によって細かな扱いが定められている場合があります。
しかし、試験対策としては、まず「建物として共同利用・共同維持する必要がある部分」というイメージを持つと整理しやすくなります。
規約共用部分とは?法定共用部分との違い
一方、規約共用部分は、区分所有法上、当然に共用部分となるものではない部分について、規約によって共用部分とするものです。
ここが法定共用部分との大きな違いです。
例えば、マンション内の管理員室や集会室などは、建物の構造上、必ず共用部分になるとは限りません。
そこで、管理規約によって共用部分と定めることで、区分所有者全員のために使用する部分として扱うことがあります。
つまり、試験では次のように考えると覚えやすいでしょう。
| 種類 | 覚え方 |
|---|---|
| 法定共用部分 | 法律上、当然に共用部分 |
| 規約共用部分 | 規約で共用部分にする |
「法律で決まっているのか」「規約で決めるのか」という違いです。
専用庭は法定共用部分?
「専用庭があるマンションなら、その庭はその部屋の専有部分ですよね?」
ここも注意が必要です。
専用庭は、特定の住戸の区分所有者だけが使用することが認められている場合があります。しかし、専用使用できることと、専有部分であることは別の話です。
つまり、専用庭について「専用使用権」が設定されていても、それだけで専有部分になるわけではありません。
試験では「専用」という言葉を見て、「専有部分」と早合点しないことが重要です。
(専用と専有。漢字が似ているので、これも受験生泣かせです。)
専用庭については、マンションの規約や使用細則などで、誰がどのように使用するのかを確認することも大切です。
【関連記事】バルコニーは誰が管理する?共用部分と専用使用部分の違い21条「通常の使用に伴うもの」を解説
バルコニーやベランダは専有部分?
マンションのバルコニーやベランダも、受験生が混乱しやすいポイントです。
バルコニーは特定の住戸の居住者が日常的に使用するため、「自分の部屋の一部」と感じます。
しかし、専用使用できる部分と専有部分は同じではありません。
一般的な分譲マンションでは、バルコニーは共用部分として扱われ、そのうえで特定の住戸の区分所有者などに専用使用権が認められている形が多くなっています。
そしてバルコニーは、火災などの緊急時に避難経路として利用されることがあります。
そのため、「自分だけが使っているから、何をしてもいい」という場所ではありません。
実際に、バルコニーに物を置いたり、植物を置いたりするときにも、マンションの使用細則などを確認する必要があります。
玄関ドア・窓ガラス・窓枠は法定共用部分?
さらに分かりにくいのが、玄関ドア、窓ガラス、窓枠です。
これらは住戸の中にある、あるいは住戸に直接取り付けられているため、「専有部分なのでは?」と思ってしまいます。
しかし、マンションの窓や玄関ドアなどは、専有部分と共用部分を単純に見た目だけで判断できない代表例です。
特に窓ガラスや窓枠などについては、標準管理規約でも共用部分として整理されている部分があり、専用使用権との関係を理解する必要があります。
そのため、「自分の部屋の窓だから、自分の判断で交換していい」と考えるのは危険です。
例えば、窓ガラスを交換したい、UVフィルムを施工したい、玄関ドアを変更したいといった場合には、管理規約や使用細則を確認してから進める必要があります。
【関連記事】マンション網戸は共用部分!窓ガラス交換やUVフィルム施工前に知るべきルール
法定共用部分と規約共用部分を簡単に覚える方法
マンション管理士試験や管理業務主任者試験では、細かい知識が大量に出てきます。
そこで、私はまず「法定=法律で決まる」「規約=規約で決める」と覚える方法をおすすめします。
法定共用部分は、建物の構造や利用上、区分所有者が共同で利用することになる部分。
規約共用部分は、本来は当然に共用部分とはならない部分を、管理規約によって共用部分として扱うもの。
この2つを分けて考えるだけでも、問題文を読んだときの混乱が少なくなります。
さらに、「専用使用」と「専有」を分けて考えることも重要です。
バルコニーや専用庭のように、特定の住戸の人が使っているからといって、直ちに専有部分になるわけではありません。
(ここまで整理すると、最初に感じた「なんで自分が使っているのに共用部分なの?」という疑問も、少しスッキリします。)
法定共用部分は「誰が使うか」だけで判断しない
法定共用部分を覚えるときに注意したいのは、「誰が使っているか」だけで判断しないことです。
例えば、バルコニーは基本的にその住戸の居住者が使用します。それでも、共用部分として扱われ、専用使用権が設定されていることがあります。
逆に、管理員室や集会室などは、規約によって共用部分として定められることがあります。
つまり、「使っている人」と「所有関係」は別問題なのです。
マンション管理士試験では、このような「普段の感覚では間違えそうなところ」が狙われることがあります。
法定共用部分なのか、規約共用部分なのか、専有部分なのか、さらに専用使用権が設定されているのか。
この関係を一つずつ整理して覚えておくと、区分所有法や標準管理規約の問題にも対応しやすくなります。
マンション管理士試験の過去問に実際に出た法定共用部分
ここまで法定共用部分について説明してきましたが、実際のマンション管理士試験では、どのように出題されているのでしょうか。
実は、法定共用部分は過去のマンション管理士試験でも繰り返し問われている重要論点です。
特に、「法定共用部分は登記できるのか」「規約共用部分との違いは何か」「廊下や階段室、エレベーター室はどちらなのか」といったポイントが狙われています。
令和5年度・問2「法定共用部分を専有部分にできる?」
令和5年度のマンション管理士試験では、問2の選択肢アで、「法定共用部分を専有部分とする場合」について問われました。
つまり、法定共用部分と専有部分の関係について、受験生が正しく理解しているかを確認する問題です。
この問題からも分かるように、法定共用部分は「廊下や階段を覚えておけば終わり」という論点ではありません。
「法定共用部分とは何か」「専有部分とは何が違うのか」という基本的な法律関係まで問われています。
(単に具体例を暗記するだけでは、過去問で引っ掛かってしまうんですね。)
〔問2〕管理組合、団地管理組合及び管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89号)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
ア 法定共用部分を専有部分とする場合には、これについて、その共有者全員の同意が必要である。
イ 管理組合及び団地管理組合においては、その職務に関し、管理者が区分所有者を代理し、管理組合法人においては、その事務に関し、代表権のある理事が共同して区分所有者を代理する。
ウ 管理組合及び団地管理組合の管理者を共用部分の管理所有者とする規約を定めることができるが、管理組合法人の理事を共用部分の管理所有者とする規約を定めることはできない。
エ 共同利益背反行為に該当する行為により当該義務違反者に対して区分所有権の競売請求に係る訴訟を提起するため、管理組合及び団地管理組合の管理者、並びに管理組合法人の代表権のある理事を訴訟担当者として選任することは、それぞれの集会で決議することができる。1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
令和6年度・問2「共用部分は登記しなくても第三者に対抗できる?」
令和6年度の問2では、共用部分に関する物権変動について、「登記していなくても第三者に対抗することができる」という選択肢が出題されました。
この問題の重要なポイントは、法定共用部分と規約共用部分の違いです。
| 種類 | 登記との関係 |
|---|---|
| 法定共用部分 | 共用部分である旨の登記をすることができない |
| 規約共用部分 | 共用部分である旨の登記が必要 |
令和6年度問2では、実際にこの違いが問われ、正しい組合せは「イとウ」でした。
したがって、試験対策では、
「法定共用部分=登記できない」
「規約共用部分=共用部分である旨の登記が必要」
という関係をセットで覚えておくことが重要です。
〔問2〕共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。
ア 各共有者は、共用部分の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
イ 共用部分に関する物権変動は、登記していなくても第三者に対抗することができる。
ウ 共用部分の持分の割合は、各共有者の有する専有部分の床面積の割合によるが、規約で別段の定めをすることができる。
エ 共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、議決権の定数については、規約でその過半数まで減ずることができる。1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
令和7年度・問18「廊下・階段室・エレベーター室」
さらに、令和7年度の問18では、法定共用部分の具体例が非常に分かりやすい形で登場しました。
問題では、「数個の専有部分に通ずる廊下」や「階段室」「エレベーター室」について、共用部分である旨の登記ができるかどうかが問われています。
これらは典型的な法定共用部分です。
つまり、今回の記事で紹介している「廊下」「階段」「エレベーター」という具体例は、単なる暗記用の例ではありません。
実際のマンション管理士試験で、法定共用部分の具体例として出題されている部分なのです。
なお、令和7年度問18の正解は「4」で、別棟の倉庫について、共用部分である旨の登記をしなくても第三者に対抗できるとした記述が誤りとされています。
〔問18〕区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 数個の専有部分に通ずる廊下(例えば、マンションの各住戸に通ずる廊下)又は階段室、エレベーター室は、共用部分である旨の登記をすることはできない。
2 共用部分に対する各共有者の持分は、規約で別段の定めがない場合、その有する専有部分の壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積として登記された床面積の割合による。
3 専有部分の所有権の移転登記がされた場合、当該専有部分の区分所有者が持分を有する共用部分についても、第三者に対抗することができる。
4 区分建物が属する一棟の建物とは別棟の建物で、一棟の建物の附属の建物である倉庫は、共用部分である旨の登記をしなくても、共用部分であることを第三者に対抗することができる。
過去問から分かる「法定共用部分」の重要ポイント
過去3年度の出題を見ると、法定共用部分については、次のポイントを押さえておくと整理しやすくなります。
| 覚えるポイント | 試験での問われ方 |
|---|---|
| 法定共用部分 | 法律上、当然に共用部分となる |
| 廊下・階段室・エレベーター室 | 典型的な法定共用部分 |
| 法定共用部分の登記 | 共用部分である旨の登記はできない |
| 規約共用部分 | 規約によって共用部分とする |
| 規約共用部分の登記 | 第三者に対抗するために登記が必要 |
特に重要なのが、「法定共用部分と規約共用部分では、登記の扱いが違う」という点です。
「共用部分だから登記できない」と一括りにしてしまうと、規約共用部分の問題で間違える可能性があります。
法定共用部分は「具体例+登記」で覚える
マンション管理士試験の勉強では、法定共用部分について、単に「廊下・階段・エレベーター」と暗記するだけではなく、「なぜ法定共用部分なのか」「登記はどうなるのか」までセットで覚えておきましょう。
覚え方としては、次のように整理すると分かりやすいでしょう。
【試験対策・これだけは覚えたい】
- 廊下・階段室・エレベーター室など → 法定共用部分
- 法定共用部分 → 共用部分である旨の登記はできない
- 規約共用部分 → 規約によって共用部分とする
- 規約共用部分 → 共用部分である旨の登記が必要
- 「法定」と「規約」を登記の違いとセットで覚える
過去問を見ると、法定共用部分は単独で問われるだけでなく、専有部分・規約共用部分・登記などと組み合わせて出題されています。
そのため、試験対策では「法定共用部分=廊下」と丸暗記するのではなく、「法定共用部分は登記できない」というところまで押さえておくことをおすすめします。
まとめ|法定共用部分は「法定」と「規約」を分けて覚える
マンションの法定共用部分と規約共用部分は、名前が似ているため混乱しやすいところです。
しかし、基本はシンプルです。
- 法定共用部分=法律上、当然に共用部分となるもの
- 規約共用部分=規約によって共用部分とするもの
- 専用使用部分=特定の人が専用使用できる共用部分がある
- 専用使用できることと専有部分であることは別
- 玄関ドアや窓などは規約を確認する
特に試験対策では、「専用=専有ではない」と覚えておくと便利です。
バルコニーや専用庭のように、普段は自分だけが使っている場所でも、共用部分として扱われることがあります。
「自分が使っている=自分の専有部分」と考えないこと。
そして、「法定なのか、規約なのか」を切り分けること。
この2つを意識して問題文を読むだけでも、法定共用部分と規約共用部分の問題は整理しやすくなるでしょう。
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