分譲マンション標準管理規約の改正点その3
2021年6月22日(火)に改正された「マンション標準管理規約」の改正点について綴ります。改正点その1はこちら!、改正点その2はこちら!
マンション標準管理規約は、マンション管理を行うための管理規約のモデルとなる規約であり、各々のマンションで用いている管理規約にも影響を及ぼすことがあるので、改正点を注意して把握する必要があります。
必要であれば、理事会や総会の場で質問や変更を促す必要があるかもしれませんので、改正点を知っておいて損はありません。
また、11月下旬に行われる「マンション管理士試験(マン管)」を受験される方にとっても改正点の把握は、受験に必要な事項だと思います。改正点が試験に出題される可能性も高いと思います。
【追記】2021年11月下旬のマン管試験では、改正点は出題されません。「出題に係る法令等については、令和3年4月1日において施行されている法令等です。」公益財団法人マンション管理センターより。
- 標準管理規約の改正点を把握
■ 目次 ■
標準管理規約の改正点を把握
2021年6月22日(火)に改正された「マンション標準管理規約」の改正点について綴ります。
お住まいのマンション管理規約の原本とも言える「マンション標準管理規約」が改正となりました。
主に「電磁的方法」「WEB会議システム等」に対応するための改正ですが、ようやく乖離していた実態に標準管理規約が追いついてきたという印象を受けます。
マンション管理規約を直ちに変更する必要はありませんが、必要であれば改正を行いましょう。まずは、どのような点が標準管理規約に改正されたのかを把握する必要があります。
毎年11月下旬に行われる「マンション管理士試験(マン管)」を受験される方にとっても改正点の把握は、受験にも必要な事項だと思います。ひょっとして改正点が問われる可能性があります。
改正点そのものの出題ではなくても、選択肢のひとつとして用いられる可能性もあるため、改正点の把握は必須となります。
第43条 招集手続
総会を招集する手続きについて書かれた条文です。従来の通知はもちろん、Webによる開催も可能となりました。
Webによる開催の場合は、どのように開催するのか方法を通知しなければなりません。具体的には、ZOOMやTeamsなどで行う方法を示すことになるでしょうね。
Webへの接続URLやID・パスワードをどう通知するのかまで検討して通知しなければなりません。
第46条 議決権
電磁的方法が利用可能な場合、議決権を行使書面の提出に代えて、電磁的方法によって提出することが可能となりました。
第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要があるとコメントが書かれています。
第47条 総会の会議及び議事
総会を開催する際の出席人数について言及されている条文です。議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならないのですが、WEB会議システム等を用いて開催する会議も同様です。当たり前ですね。
WEB会議で参加する場合の人数をどのようにカウントするのかということがキーになるような気がします。
通常総会の場では、開催時に管理会社による出席者の人数確認が行われます。集会場で出席していれば、簡単にカウントできますが、WEBで参加している人も正確にカウントして定足数を把握する必要があります。
今までは、「出席」「委任状」「議決権行使書」という3種類でしたが、今後は、「WEB出席」という選択肢が増えるかもしれません。
提出時「WEB出席」の意思と異なり、当日キャンセルする場合も考慮しなければなりません。
第48条 議決事項
総会の決議を経なければならない項目が定められています。項番が変更となっている項目もあります。八項と十三項が追加になっています。
【変更前】
一 収支決算及び事業報告
二 収支予算及び事業計画
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てる
ための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
七 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
八 修繕積立金の保管及び運用方法
九 第21条第2項に定める管理の実施
十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十五 その他管理組合の業務に関する重要事項
【変更後】
一 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
三 収支決算及び事業報告
四 収支予算及び事業計画
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
七 修繕積立金の保管及び運用方法
八 適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同法第5条の6第1項に基づく管理計画の認定の更新の申請及び同法第5条の7第1項に基づく管理計画の変更の認定の申請
九 第21条第2項に定める管理の実施
十 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
十一 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
十二 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十三 円滑化法第102条第1項に基づく除却の必要性に係る認定の申請
十四 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
十五 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
十六 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十七 その他管理組合の業務に関する重要事項
分かりやすいように、変更前と変更後で比較してみました。
変更前 | 変更後 | 変更の有無 |
一 収支決算及び事業報告 | 三 収支決算及び事業報告 | 変更前と同じ |
二 収支予算及び事業計画 | 四 収支予算及び事業計画 | 変更前と同じ |
三 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法 | 六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法 | 変更前と同じ |
四 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止 | 一 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止 | 変更前と同じ |
五 長期修繕計画の作成又は変更 | 五 長期修繕計画の作成又は変更 | 変更前と同じ |
六 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し | 十 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し | 変更前と同じ |
七 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し | 十五 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し | 変更前と同じ |
八 修繕積立金の保管及び運用方法 | 七 修繕積立金の保管及び運用方法 | 変更前と同じ |
九 第21条第2項に定める管理の実施 | 九 第21条第2項に定める管理の実施 | 変更前と同じ |
十 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任 | 十一 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第三号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任 | 変更前と同じ |
十一 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧 | 十二 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧 | 変更前と同じ |
十二 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却 | 十四 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却 | 変更前と同じ |
十三 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法 | 二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法 | 変更前と同じ |
十四 組合管理部分に関する管理委託契約の締結 | 十六 組合管理部分に関する管理委託契約の締結 | 変更前と同じ |
十五 その他管理組合の業務に関する重要事項 | 十七 その他管理組合の業務に関する重要事項 | 変更前と同じ |
八 適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同法第5条の6第1項に基づく管理計画の認定の更新の申請及び同法第5条の7第1項に基づく管理計画の変更の認定の申請 | 項目追加 | |
十三 円滑化法第102条第1項に基づく除却の必要性に係る認定 | 項目追加 |
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