理事長の決め方で総会欠席者から選ぶのは危険な理由
管理組合の理事長はマンション住民の誰かが選ばれます。総会終了後に、理事の相互で役職を決めることが多いですが、総会欠席者が選出されてしまう欠席裁判のケースも多いです。適切なマンション管理を考えるのであれば、総会欠席者から理事長を選ぶのは非常に危険な状態であると言えます。総会開催前にきちんと根回しができているとよいのですがね。
■ 目次 ■
理事長の決め方は
管理組合の理事は、任期が終わると新しい理事が選出されます。立候補制・輪番制・推薦制など色々と理事になる選出方法はありますが、理事のメンバーが代わるのが管理組合です。
理事が代わると、新しい役職を任命する必要があります。マンションによって役職は違いますが、共通して最低限必要な役職は、理事長・副理事長・会計・監事の役職でしょうか。
国土交通省(国交省)のマンション標準管理規約第35条には、
管理組合に次の役員を置く。
一 理事長
二 副理事長 ○名
三 会計担当理事 ○名
四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。) ○名
五 監事 ○名
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
マンション標準管理規約第35条(役員)
とあり、理事長は1名であるが、副理事長・会計・監事は、マンションの規模等により複数の役職者を定めてもよいことになっています。
3項の「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。」とありますので、理事に選ばれた中から、さらに役職を定めることになります。
役職を定める方法としては、まず立候補で役職を募ることが通常です。立候補で定まらなければ、アミダクジやジャンケンなどの方法で公平に定められることになります。
役職を定める場に全員が出席していれば、全員でアミダクジ・くじ引き・ジャンケンを行うこともできますが、欠席の場合は、管理会社の担当者が欠席者を代行して定めることがあります。
どんな役職に就くべきかについては、「マンション管理組合の理事は拒否できないのか」で綴ったように、副理事長に立候補することが、理事長に任命されないコツです。
ただし、「マンションの理事会が暴走する前にルール作りをしましょう」で綴ったように、健全な理事会運営が継続できるように、理事の任期を2年としているマンションもあります。
当マンションでは、前年度の副理事長が翌年度の理事長として任命されることが、ローカルルールで定めています。
副理事長に立候補するということは、必然的に理事長に立候補することになります。
1年目は副理事長、2年目にマンションを売却するという禁じ手がないわけではありませんが。
おかげで「半数改選でスムーズな理事長決定で効果の高さを実感した」でも綴りましたが、スムーズな理事会運営が行うことができています。
理事会運営のノウハウが引き継がれるのがポイントだと思います。
この場合は、会計か監事に立候補することが無難なのかもしれません。役職を決めるタイミングで、どのようなルールになっているのか確認することも必要なことです。
欠席者から理事長選出は危険
よく「第1回の理事会に欠席した理事が、理事長にさせられてしまった。」ということを聞きます。
理事長への立候補が誰もなく、アミダクジ・くじ引き・ジャンケンで決まってしまったのだと思います。
理事会の欠席者が突然、理事長となって驚くと同時に、どうしたらよいのかと不安を覚えるのではないでしょうか。
アミダクジ・くじ引き・ジャンケンで決めたと言っても、理事会に出席していなかったので、公平な決め方だったのか疑問やクレームを持たれる恐れがあります。
理事会を欠席したのは何か理由があってのことだと思いますが、理事会を欠席した人に理事長を任せると、今後の理事会活動に支障が出る可能性があります。
理事長が長期出張などで不在になる可能性が多いのであれば、マンション管理に支障が出る可能性も否定できませんから、避けた方が無難です。
【関連記事】
マンション管理組合の理事長が不在の場合どうする
総会の様子を把握できない
総会を欠席したのですから、総会の様子を十分把握することがないまま理事長を行うことになります。
議事録などで、総会の議題に対する結論が把握できたとしても、議事録には載せられていない情報が欠落します。
総会出席者からの質問と回答した内容、出席者が理事会へ望むことなどの意見は、理事会がよい活動を行う上での貴重な情報となります。
せっかく頂いた情報を反映しないのは、非常にもったいないことです。
理事長の引継ぎが不十分
総会終了後に、前期役員と次期役員との引継ぎを行います。
前期から継続的に話し合われている議題や方向性の情報が十分に引き継げないことがあります。
後で、個別に理事長のみの引継ぎを行うことでフォローを行えますが、例えば、幹事目線での情報が欠落してしまいます。
前期理事長も、次期理事長への引継ぎを行わないと不安になってしまうことでしょうね。
理事会が開催されない
理事長にやる気がないと、理事会の開催が滞る場合があります。月に1回定期的に行っていた理事会が開催されなくなります。
理事会で話し合って決定すべき内容が何もなければよいのですが、何かしらの議題は出てくるのが理事会です。
理事会が開催されないと、必要な事柄が決まりません。マンション生活にも支障が出る可能性もあります。
「マンションの理事会ペースはどのくらいで開催するか?」で綴ったように、毎月1回定期的に理事会を開催しているマンションが、約半数を占めています。
資産価値にも影響が
マンションの資産価値は、建物のハード面だけではなく、理事会運営状況などのソフト面も重要視すべきと考えています。
理事会開催頻度の低いマンションは、問題が全くなく健全であるかもしくは、問題があっても放置状態であるかの2つです。
資産価値にも影響を及ぼしかねない理事長の選出を、総会欠席者から選ぶのはよろしくありません。
副理事長にしわ寄せが
理事長が活動すべきところを行わない場合は、副理事長やその他の理事にしわ寄せが行く可能性があります。
国土交通省(国交省)のマンション標準管理規約第39条では、
副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときは、その職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。
マンション標準管理規約第39条(副理事長)
と副理事長の役割が定められています。
管理会社からの問い合わせに対して、要領を得ない回答だったり、質問に対して無視していると管理会社として勝手に判断して進めることができない場合があります。
また、マンション住民からの質問や依頼があるかもしれません。理事長の代わりに副理事長やその他の理事にしわ寄せが行く場合が考えられます。
決済や確認が滞る
理事長にしか対応できないことが滞ってしまう可能性があります。決済書類を確認して銀行印を押すことや議事録や月次報告書に目を通して、署名と捺印を行うことがあります。
「車庫証明にはマンションの理事長印が必要!」で綴ったように、車庫証明(保管場所使用承諾証明書)への署名と捺印も必要となります。
決済や確認が滞るとマンション管理に支障が出る可能性があります。
おわりに
理事長の決め方は、管理組合毎に違うと思いますが、最終的には公平にくじ引きで決める管理組合が多いと思います。
今までの経験から、くじ引きやアミダは公平と言えるのかは疑問です。スーパーマーケットのくじ引きはあたらないのに、なぜか理事長にはあたるのです。確率の問題かもしれませんけどね。
自ら進んで理事長職を担って頂けるのが本当は一番よいのでしょうが、管理組合の役職で「理事長」が大変な役割であると知っているから遠慮してしまう方もおられます。
ほかのマンションで理事長を経験して大変な思いをされてきた方やインターネットなどで理事長経験の話を聞いているのかもしれませんね。
しかし、理事長が特別大変であるということはないと思います。理事長一人で、マンション運営を行うわけではないのですから。
誰かが理事長を行う必要があります。会社でもそうですが、リーダーシップの力によって、スムーズな運営を行うことができます。
万が一、理事長になってしまったら「マンション管理組合の理事長挨拶どうするか」を参考に、まず挨拶から初めてみましょう。
総会欠席者が選出されるのは危険
※アフィリエイト広告を利用しています。