全国一斉立入検査の結果は43.2% 是正指導の多さに驚き!
国土交通省(国交省)が7月31日に発表した平成30年度のマンション管理業者への全国一斉立入検査結果で、是正指導を受けたマンション管理業者の指導率が43.2%だったことが分かりました。昨年度よりも13.8%の増加という結果に、是正指導のマンション管理業者が多すぎなのではないかと驚いています。
■ 目次 ■
全国一斉立入検査は43.2% 是正指導の多さに驚き!
7月31日に国土交通省(国交省)が発表した平成30年度のマンション管理業者への全国一斉立入検査結果に驚いています。
なぜならば、マンション管理業者146社中なんと63社(43.2%)という多くの是正指導を受けたマンション管理業者が報告されたからです。
昨年(平成29年度)の是正指導率は、37.9%だったので、1年間で13.8%も指導率が増加したことになります。指導率が思いのほか高かったのには驚きました。
自分の住んでいるマンションの管理会社は、指導に相当する事項に該当していないということを確認しなければと思わされました。なにせ4割にあたる管理会社が指導の対象となったのですから。
下記に、どんなことで国土交通省(国交省)から指導を受けたのかを見ていきます。
管理業務主任者の設置
管理業務主任者の設置(第56条関係)が、8社の指導を受けています。
第56条では、事務所の規模を考慮して、国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならないとされています。
管理業務主任者の設置違反ということは、管理業務主任者が適切に設置せずに業務を行っていたということです。
管理組合のチェック1
管理組合としては、管理業務主任者が誰なのかを確認することです。
マンションの委託契約に関する重要事項や管理事務の報告を行うために必要な知識の力量があることを国家資格の認証によって判断されているため、「管理業務主任者証」の提示を求めることです。
重要事項の説明等
重要事項の説明等(第72条関係)が、48社の指導を受けています。
第72条では、管理組合に対して、管理受託契約を締結する前に、管理業務の重要な事項について説明することが求められています。
適切な時期に適切な方法によって、管理組合に重要事項の説明を行わなければならないのですが、説明が行われずに怠っていたということです。
管理組合のチェック2
新規であろうと更新(同一条件でない場合/同一条件である場合)に関係なく、管理受託契約を締結する場合には、重要事項の説明を受ける必要があります。
契約期間が失効する前に重要事項の説明を受けているのかどうかを確認しましょう。説明を行っていない場合は、管理会社に問い合わせを行うことです。
重要事項説明書の記載に誤りがないかも確認してください。対象となるマンションの所在地やマンション名はもちろん、管理対象となる共用部分や附属施設・管理人や清掃員の勤務時間や休日・定額委託業務費、契約解除の条件の記載、再委託可能な管理業務、保証契約等の確認が必要です。
前年の重要事項説明書と比較して管理組合側に不利益となるような記載がないかを確認してください。あれば締結する前に修正をすることです。
契約の成立時の書面の交付
契約の成立時の書面の交付(第73条関係)が、38社の指導を受けています。
一般的な契約書のように、管理受託契約を締結した場合には、成立時の書面を交付が必要です。新規はもちろん、更新契約の場合も同様です。口約束ではダメなのです。
管理組合のチェック3
契約の成立時の書面の交付を受けているでしょうか。契約締結日・管理会社名・署名・捺印があるかの確認が必要です。契約の成立時の書面は、管理組合として保管してあるでしょうか。
財産の分別管理
財産の分別管理(第76条関係)が、22社の指導を受けています。
第76条では、マンション管理組合の財産の分別管理を求めています。管理組合の財産に手を付けたマンション管理業者が多くいます。
「国土交通省ホームページの監督処分を分析アレに注意」で綴ってように、「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」に登録される一番多い理由が、管理組合の不正着服(横領)なのです。
過去に何度となく監督処分を受けていますが、「今後、起きないようにします。」という割には毎年不正着服が行われています。
不正着服を防止するためにも、マンション管理組合の財産の分別管理を求めているのが、第76条となります。
財産の分別管理が出来ていないという指導が「全国一斉立入検査」でもありました。なお、「収納口座と保管口座、財産の分別管理イロハの違いは?」には、分別管理について綴っていますので、参考にしてください。
管理組合のチェック4
管理組合の理事長はもちろん監事による財産のチェックが必要です。管理組合の財産を私的に流用していないか、収支の計算は合っているのか、不明な入出金はないのか等、一般企業の経理でチェックすることが必要です。
そのために、毎月の報告を管理会社から提出させることや管理組合による定期的なチェックを受ける仕組みを構築して実施することです。
年に1回の監事チェックでは遅いです。毎月監事のチェックが必要なのかもしれません。そういう意味で管理組合は、理事長よりも監事の働きが重要であると言えるかもしれませんね。
監事は、少なくとも下記のチェックリストにある項目を確認してほしいです。
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管理事務の報告
管理事務の報告(第77条関係)が、32社の指導を受けています。
第77条では、管理組合に対して、管理事務の報告を行うことを求めています。管理受託契約を締結しているのですから、実施した結果の報告を管理組合に行うことは当然のことであると考えます。
管理組合のチェック5
毎月、理事長に対して、管理事務の報告があるのが普通です。報告書を受けているかどうかの確認と内容を精査することです。管理費や修繕積立金の滞納者状況、排水管清掃を行った結果、消防設備点検の結果などは報告があるでしょうか。
おわりに
平成30年度のマンション管理業者への全国一斉立入検査結果では、146社中63社(43.2%)という多くの是正指導を受けています。
マンション管理業界全体は、この数字を真摯に受け止めて是正を行って頂きたいと思います。43.2%という数字は、決して喜ばれる数字ではないからです。約6割しか是正がなかったということですから。
マンション管理業界全体のさらなる底上げが必要なのではないでしょうか。大切なマンション管理を委託しているのですからね。
今お住まいのマンションの管理会社は、是正の対象となった管理会社ではないことを祈りますが、最低上記5点はクリアしていることは確認してください。5点クリアしていれば、まずは安心だと言うことです。
管理組合側も、「管理会社に全て任せておけば安心だ。」と楽観視することのないようにしましょう。4割という高い数字で国土交通省(国交省)による是正指導を受けているのですから。
全国一斉立入検査の結果は43.2% 是正指導の多さに驚き!
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