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マンションの理事会でペナルティを課すには?

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健全なマンション運営に欠かせない理事会へ出席できない人が多く、無責任さを自覚させるためにペナルティを定めることは可能なのでしょうか。どのようにペナルティの必要性を訴えればスムーズなのでしょうか。どんなペナルティを課すことが適当なのだろうか。

マンションの理事会でペナルティを課すには?

管理組合で定まっている理事会の出席率が悪いと、理事会の成立要件を満たせず、理事会が流れてしまう(流会)ことになります。

せっかく理事会へ出席した人にとっても申し訳ないですし、なにより重要な審議ができないことはマンションの資産価値下落にもつながります。

毎回理事会へ出席した人と毎回理事会を欠席した人が同じ評価であることは不公平であると考えます。

理事会へ出席しやすい日程をあらかじめ組んで、出席を促すのですが、出張や介護などの諸事象によって欠席があります。

理事全員が揃うことが理想なのですが、理事会が開催できないのは致命的です。そこで、理事会を欠席した方へ何らかのペナルティを課すことができるのでしょうか。

一般的には、マンションの理事は、輪番制で回ってくることが多いため、マンション管理に無関心の人が理事に選ばれると起こりやすい理事会の「流会」です。

結論から言うと、ペナルティを課すことは可能です。ただし、それには、ペナルティとしての定め(ルール)を設けることをマンションで定め、管理規約に盛り込む必要があります。

マンション管理規約にペナルティ規定を設けることになりますから、総会にて住民の同意が必要となります。以下、規定を設けるための手順です。

理事会が定期開催される場合

定期的でなくても理事会が開催されている場合は、理事会へペナルティの要望を住民側から提出することで、理事会の中で話し合って頂くきっかけとします。

「マンションへ要望書の書き方で効果的なのは」で綴ったように、ただ単に「ペナルティを課す」という目的以外にも、なぜペナルティの必要があるのかを書いて要望書を提出してください。

ペナルティを課すことが、マンションの価値向上につながるという建設的な要望でなければ受け入れられないかもしれません。理事会で適切に話し合う必要性を訴えましょう。

理事会の開催頻度が低い場合

理事会の開催回数は、法令や規範などで定まっているわけではありません。マンションの規模や必要性に応じて異なってくるからです。

ただし、あまりにも理事会の開催頻度が低い場合は、要望書を提出しても、時間的な関係で要望書が取り上げられないかもしれません。

理事会開催が極端に少ない場合は、理事の職務怠慢であると言わざるを得ません。

そうなるとせっかくよい提案をしたとしても改善に向かわないかもしれません。その場合は、管理会社の担当者へ要望を伝えることです。

管理会社として、住民から連絡があった場合は、無視することはできず、適切に対応してくれるものと期待します。

通常総会で意見する

健全なマンションであれば、年に1回通常総会が開催されます。事業報告や事業計画・管理会社との契約・理事会役員の選任などの報告や決定を行う必要があるからです。

通常総会は、あらかじめ配布された「通常総会議案書」に書かれた内容に基づいて進められます。

通常総会の最後に、通常総会出席者からの意見を伺う機会が設けられる場合がありますので、その時に「ペナルティ」についての要望を行うことで、ダイレクトに理事会に伝わります。

1年間に理事会を開いた回数や理事会出席者数(出席率)を聞いて、あまりにも理事会出席者数が少ない場合は、その点の現状を指摘することも必要です。

理事会へ立候補する

要望書を提出したり、管理会社の担当者へ連絡をお願いしても、改善の兆しが見られない場合は、自らが理事として立候補し、ペナルティの規定を定めます。

理事会でペナルティについての原案や資料を提出するなど、積極的な導入に携わることをおすすめします。あくまで、よいマンション運営を行いたいという気持ちが大切です。

ペナルティの内容

具体的にペナルティの内容をどうしたらよいでしょうか。理事に選出されていながら、理事会を欠席するのですから、与えられた役割を果たしていないことになります。

欠席者に対するペナルティ(罰金)としてよくあるのが、1回の理事会欠席に対して妥当な金額を支払うことが定められています。いくらが妥当な金額なのかは、数千円程度が多いようです。

ペナルティとして、共用部分の掃除なども考えられますが、あまり現実的ではありません。

しかし、輪番制で理事になった方には、やむなく単身赴任中であるとか病気やご高齢で動くことが困難な場合もありますから、配慮が必要だと思います。

ペナルティ(Penalty)とは、「罰」「罰金」「刑罰」という意味で使われており、ダイレクトに使用すると印象がよろしくありません。ですから「協力金」「カンパ」などと柔らかい表現にしてもよいと思います。

ペナルティを課す一番の問題点は

最後に、ペナルティを課す一番の問題点を綴ります。それは、ペナルティ(罰金)を払えば、理事会へ出席する必要がないのだという安易な気持ちにマンション住民が思ってしまうことです。

マンションは、住民の協力で成り立っています。管理組合もペナルティ(罰金)がほしいのではなく、理事会として活動することを望んでいるからです。

ペナルティ制度を導入する前に、理事会に参加しやすい回数や仕組みの構築を考えてはいかがでしょう。

役員報酬の検討を

欠席の場合のペナルティ(罰金)ではなく、役員に対する報酬を支払うことを考えてもよいのではないでしょうか。実際「マンション管理組合の理事長に報酬は必要か」で綴ったように、理事として活動に対して報酬を支払うルールを検討して導入した経験があります。

わずか数千円という少額ではありますが、感謝の意味を込めて、役員報酬を渡すようにしました。理事会出席の回数に応じて報酬金額を変更するなど工夫することもできますね。

おわりに

健全なマンションのためには、理事会という組織による活動が不可欠です。その理事会に出席しないというのは問題です。理事の任期は、大抵1年間(長くても2年間)なのだから、その間は、職務を全うしてほしいものです。

出席者を確保するためには、ペナルティという制度を設ける手段もありますが、自分が住むマンションにどれだけ愛着があるのかが問われるのではないでしょうか。

理事会は、今まで知らなかった住民同士が互いに知ることのできるよいコミュニケーションの場でもあります。人間が集まれば、それだけ問題や課題も出てくるでしょう。マンションの老朽化という共通の課題も出てきます。

様々な価値観の方と縁があって一緒に住んでいるのですから、お互いに気持ちよく住めるようにしましょう。

ペナルティを定める最大の目的は、管理組合の収入を増やすことではなく、理事会を活発化させることにあることを頭に置いて頂ければ幸いです。

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要望書を経て、通常総会で決める。
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独身でマンションを購入し、売却を経験した管理人です。失敗や後悔をすることがないように経験から得られた知識を発信することでマンション購入のお役立ちとなるように願っています。「マンションは管理を買え!」と言われるように、購入して後悔のないように願うばかりです。理事長や副理事長の経験もあり、管理委託費の削減も行いました。

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