公共料金猶予の対象者はいつから?管理費や修繕積立金も猶予?
政府が、新型コロナウイルスによる困窮者支援対策として、公共料金(電気・ガス・通信事業者)の猶予を要請しました。マンションでも、管理費や修繕積立金の猶予を要請されたとしたら、対応すべきでしょうか。対応する場合は、どのようにすべきなのでしょうか。
■ 目次 ■
公共料金猶予の対象者はいつから?
政府が、新型コロナウイルスによる困窮者支援対策で、公共料金(電気・ガス・通信事業者)の猶予を要請しました。
経済産業省は、「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、電気料金の支払いなど生活に不安を感じておられる皆様へ」というタイトルで、要請の内容を記載しています。
電気料金について、その支払いが困難な事情がある者に対しては、その置かれた状況に配慮し、料金の支払期日の猶予等、迅速かつ柔軟に対応するよう、小売電気事業者に対し要請をしました。
その際、電気の小売は既に全面自由化していることも踏まえ、事業者による柔軟な対応を円滑化するべく、「託送供給等約款」及び「特定小売供給約款」等について、下記の特例措置の認可を行いました。
電気の使用者の料金の支払い遅延による電気の供給の停止については、当該電気の使用者が置かれた状況に配慮し、柔軟に対応するよう、小売電気事業者に対し要請をしました。
分かりにくい表現となっていますが、要は、「電気料金の支払いが困難者は、支払期日を猶予すること。電気の供給停止は猶予すること。」ということです。
電気料金を猶予することができるのであって、電気料金の支払いを免除するということではありません。猶予された電気料金は、いつかは支払わなければならないということです。
一時凌ぎ(いちじしのぎ)にはなりますが、困窮者を救うことの抜本的な対策ではありません。何もしないよりはよいと評価しますけどね。
同様に、ガス料金の要請内容を記載しています
「(3)本特例措置の受付開始日」として、令和2年(2020年)3月25日と書かれています。対象の方は、現在契約している電気・ガスの事業者へご相談ください。
通信事業者についても、猶予措置が行われています。契約をしている通信事業者にご相談ください。
管理費や修繕積立金の猶予は
生活困窮者の支援対策として、「管理費や修繕積立金・駐車場の利用料金なども猶予してほしい。」と管理組合に申し入れがあった場合は、どのように対応すべきなのでしょうか。
管理組合として、「猶予は一切受け付けない!」と断ることです。修繕積立金を1年間一律に減額するということも受け付けてはいけない理由を綴ります。
管理組合の負担増
生活困窮者としての申し入れは分からなくもありませんが、個別に事情を聞いて対応するとなると、管理組合や管理会社の事務作業が発生してしまいます。
マンションには、様々な立場の人が住んでいます。どういう人が減額対象者とするのか判断が非常に難しい作業となります。
誰がどのように判断するのか明確な基準がないのであれば、どなたも猶予は一切受け付けないというスタンスを貫くべきです。
予算不足による影響
管理費が予定通りに入ってこないと、マンション管理にも影響を及ぼします。
多少の余裕を持った予算計画を立てている管理組合が多いことだと思いますので、今年度計画された内容が実施できないということはないでしょうが、将来を考えると毎月の管理費や修繕積立金は減額してはいけません。
区分所有者の全員が、修繕積立金を1年間減額するということも考えられます。臨時総会や通常総会の決議を経て、実施することは可能な減額方法の手段ではあります。
減額に伴って、長期修繕計画を見直す必要も出てくるでしょう。来年度以降の修繕積立金の金額は同じでよいのか値上げする必要があるのか精査と区分所有者の認知が必要となります。
当然、理事会で話し合って議案化するのですが、時間を費やした割には建設的な対策だとは思えません。かえって問題と混乱を誘発する気がします。
不公平感が生じる
ある特定の人だけ猶予を受け付けたとなると、毎月きちんと管理費や修繕積立金を支払っている人と比較して、不公平感が生まれてしまいます。
猶予を受けたのだから、ペナルティとしてゲストルームやエレベーターの使用を禁止するというわけにもいかないからです。猶予を受けた人を公表するつもりはなくても、風の噂で伝わってしまいます。
少なくとも理事会の場では、猶予者が特定されてしまうかもしれませんね。
猶予が許される認識
猶予が簡単に許されるという認識が出てしまうことが怖いです。今まできちんと支払って頂いた方まで影響が拡大することが恐ろしいです。
一度、猶予が許されるという認識を持たれると、次々に管理費や修繕積立金の延滞が発生して収拾がつかなくなることになります。
「毎月、支払うことが馬鹿らしくなってしまった。」という印象を区分所有者に与えてはいけません。
住宅ローン返済苦しい場合
住宅ローンの支払いが苦しいからと言って、金融機関に黙って、住宅ローンの延滞を続けていると、一括返済が求められます。
1回目の滞納の場合は、「早く口座に入金してください。」「別の方法ですぐに支払いをしてください。」との催促されるのが一般的です。
2回目の滞納になると、「保険会社に支払いの依頼(代位弁済)を求める督促状が届きます。
それでも住宅ローンの支払い見込みがなければ、保険会社が代わりに支払いをして、その保険会社からローンの一括返済を求められてしまいます。
金融機関へ相談
公共料金の支払いよりも、住宅ローンの返済負担の方が大きくて苦しいと言われる方は、必ず住宅ローンを借りている金融機関へ早急に相談してください。
金融機関を出向いて、住宅ローンの返済が滞ってしまった理由を説明しましょう。理由としては、収入が減ってしまったなどと正直にお話しされた方がよいです。
そして、金融機関に住宅ローンの返済条件を見直してもらうことです。返済条件の見直しとして、「返済期間の延長」と「一時的に返済猶予」があります。
ただし、どちらの方法も延滞が発生していない状態で相談に行ってください。金融機関も、遅れたとしても住宅ローンを返済して頂きたいと思っているはずです。
返済期間の延長
現在の返済期間を延長して頂く方法です。現在20年の返済期間を30年に延長することで、月々の返済額を減らすことができます。
一時的に返済猶予
一定の期間だけ、返済額を減額してもらう方法です。減額した分は、どこかで帳尻を合わせる必要がありますが、信用が全て失われることは避けられます。
住宅ローンの借り換え
現在の住宅ローンの金利が高くて、支払いが苦しいというのであれば、金利が安い金融機関へ乗り換えるという手もあります。
ただし、金利だけで判断しないで、借り換えるための諸費用も含めたトータルで判断しなければいけません。
家を手放す
どうしても住宅ローンが苦しい場合は、売却という手段を取らざるを得ません。
競売にかけられる前に自分で売却(任意売却)することで、競売よりも損を少なくすることができます。
おわりに
公共料金の支払いを猶予する要請は、「政府としても一応対策案を出しましたよ。」という感じが非常に強いように思います。
公共料金の支払いよりも、一般消費者が普段負担と感じている税金の減免やスマートフォンなどの通信費の減額をして頂いた方がありがたいと思います。
一人あたり10万円の現金を支給するなどの家計負担の軽減策を講じようとしていますが、効果的な対策となってほしいものです。
商品券がどうかとか所得制限を設けるなどと話し合っている間にも、早急に必要としている人がいます。どうかスピード感を持った決断をしてほしいです。
2020年開催予定だったオリンピック・パラリンピックが、新型コロナウイルスの影響で延期となってしまいました。2021年に開催されることとなり、色々な面で影響がでています。
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